中国系アメリカ人のテッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を基に突然世界各地に現れた謎の宇宙船に学者らが挑む姿を描いた本作。ヴィルヌーヴ監督は「この原作を映画化しようと思ったのはSFというカテゴリーでありながら、兵器やテクノロジーだけのものでない人間の物語をきちんと描いていたから。それこそが僕が作りたかったものなんです」とコメント。
本作の後、『ブレードランナー』の続編として製作されている『ブレードランナー2049』(秋公開)の公開も注目を集めているが、この日は同作の進捗状況についても明かし、「編集はそろそろ終わりそうな状態。SFXも膨大にあるんですけど、その作業も終わりそう。今は音をつける作業をしています。僕にとっても今までで一番野心作になりました。早く皆さんにお見せしたい」と笑顔。
「『メッセージ』と『ブレードランナー』に共通しているのはブルーバックをほとんど使っていないこと。僕はブルーバックはあまり好きではありません。それらを使わずに撮れたことは自分にとって夢が叶ったような気分」ともコメント。
客席とのQ&Aでは映画監督志望の青年を前に、大作を作る上での製作準備の大変さなども説き、「映画はたったひとつの方法で作るものではない。何千ものやり方がある。僕はプリプロが大好き。作品のことが夢見るように夢想することができるからです。撮影に入ってしまえば時間はあっという間に過ぎるので準備はいつも万端でなくてはならない。(映画監督になるなら)準備を好きになった方がいいですよ」とエール。関根とも息ぴったりのトークで会場をわかせていた。
(取材・文:名鹿祥史)