昨年11月の三宅島で石原知事が大興奮したドラッグレースは、距離を大幅短縮したデモンストレーション走行となった。本来ならば、大型改造バイクが1対1で直線402.33mのスピードを競う一発勝負。三宅島では空港滑走路を使って公式戦が行われたが、お台場の臨時駐車場に設けられたコースでは十分なエリアが確保できず、全長二百数十メートルで出足を競うにとどまった。
それでも観客は大喜びだ。競技用マシンが爆音と煙をあげて飛び出すと、拍手や歓声が沸き起こった。絶叫MCやレースクイーンが本場ムードを演出し、お台場がサーキットになった。
群馬・GPクラフトドラッグレーシングの鈴木克佳選手(43)は「まさか都心でドラッグレースをやれるとは思わなかった。大勢が立ち寄ってくれてモチベーションがあがった。ぜひ三宅島にも来て本物のレースを見てほしい」と満面の笑み。
公式戦では時速約270kmでゴールするところ、50〜60メートル付近でアクセルを戻さなければならなかったため、2速どまりの時速100km程度しか出せなかったという。
デモ走行にもかかわらず、北海道から九州までランキング上位のライダーが集まり、今年も空港滑走路で実施が決まった三宅島公式戦に向け弾みをつけた。ドラッグレース発祥の米国では10年前からあるという“ちびっこ部門”もエントリーされ、女児ライダーや9歳男児ライダーが出走。観客と記念撮影するなど和気あいあいだった。
ドラッグレースに負けず会場を沸かせたのがフリースタイルモトクロスだ。高さ約10メートル地点で開脚したり宙返りするアクロバチックな演目に、観客はタオルを振り回して興奮した。MCから“バイクの異種格闘技”と紹介されたモタードは、モトクロスバイク十数台がコース上のジャンプ台をクリアしながら抜きつ抜かれつのデッドヒート。別のエリアでは、軽トラックで片輪走行する曲芸乗りまで披露された。
なんでもござれの充実ぶりに、三宅島関係者は「出展社も多いし、本番より盛り上がったんじゃないか」と心配する。同島からは、各地区青年団や観光協会関係者ら約60人が上京。あしたばの天ぷらなどを販売し、なかでも150kgずつ用意したサザエとトコブシのしょうゆ焼きは短時間で完売する大好評だった。三宅島観光協会の横山知己事務局長は「出血大サービス価格ですが、本番を盛り上げるためにサザエは出したい」と気合を入れた。
大会本部によると、入場者数は1万6912人で、目標の1万5000人をクリア。都内のライダーカップルは「予想以上の迫力。三宅島は遠いけど、行ってみたいですね」と興奮冷めやらぬ様子だった。
【レースクイーン増員】
プレイベントにすぎないのに、昨年の三宅島では3人だったレースクイーン(RQ)が、本紙が確認しただけでも8人に増えた。
各バイクチームは「レースクイーンはモータースポーツの華。チーム任せでなく主催者がセッティングしてくれれば賑やかになっていい」などと押せ押せムード。F1レースでは、主催者側が美女十数人をゲストとして招く慣習があるという。
ドラッグレースチーム「BRAVES」の三島千佳さん(25歳 T172 B87 W60 H90)は「都内では画期的なイベントだった。今度は三宅島に行きたい」。浅倉ちほさん(23歳 T169 B86 W57 H88)は「どこまででも行く。ドラッグレースオタクなんです(笑)」とアピール。下乳がのぞく穴開きコスチュームには、2人して「もっと大きな穴でもいいよね」と大胆だった。
ドラッグレース公式戦次戦(8月17日)を控える栃木・ツインリンクもてぎエンジェルズの井上裕美子さん(年齢未公表 T160 B80 W60 H82)、葉月ななこさん(年齢未公表 T162 B78 W57 H84)は口をそろえて「オファーがあれば三宅島に行ってみたい」と微笑んだ。
ほかにも、昨年三宅島を沸かせた「ハニーエンジェルズ」3人のうち2人が参加したほか、三宅島行きが内定しているRQも2人いた。
【警視庁女性白バイ隊登場】
警視庁の女性白バイ隊「クイーンスターズ」は、精鋭6人が日ごろ鍛えたバイク技術を披露し、来場したライダーらに安全運転を呼びかけた。
イベント用の赤いバイクスーツをまとった女性隊員が、1台ずつ交差する「X走行」やシンクロナイズドスイミングのように円を描く技をみせると、大きな拍手が送られた。美女ぞろいだった。
山口祥世巡査長(27)は「頑張って!と声をかけられ嬉しかった。みなさんセーフティーライダーだと思いますが、バイクにはプロテクター着用で安全運転を心掛けてほしい」と話した。