直径30センチほどの瓶に黒い小型の人魚がそのまま収められており、上蓋がきつく締められている。研究品だったのか、さまざまな英単語が書かれている。まさに「封印された怪物」という形容がぴったりな不気味なコレクション品である。
人魚の顔は(外人ゆえ?)やたら彫りが深く、やや男性らしい印象も与える。
この人魚はゴツゴツとした体が特徴で一見すると岩、もしくは珊瑚礁のような硬い質感も感じられる。
オカルト研究家・作家の山口敏太郎氏が購入した時には人魚のほかに写真奥に写っている指名手配写真のようなものも同封されていたという。
さて、この「瓶詰め人魚」であるが説明書きによるとフィジー諸島で捕まったとされている。
実はフィジーには昔から人魚伝説が存在する国で過去にはアメリカで「フィジー諸島で捕まった」という触れ込みで人魚のミイラが公開されたことがある。
もっともそのミイラは作り物で、アメリカの博物館経営者が見世物として展示していただけなのだが、噂が噂を呼び大人気の展示になったという。
今回、山口敏太郎氏が手に入れたのはさすがに当時のものとは思えないが、上記の博物館に展示されていたものをイメージして制作されたレプリカという可能性が高い。
フィジーはご存知の通り、南太平洋に囲まれた美しい景色の島々で古くから観光地として人気のあるスポットである。
フィジー自体にはあまり未確認生物の目撃談は多くないのだが、実は最近、大規模な怪物騒動が起こっている。2006年にフィジー共和国のブアの海岸に巨大な足跡が残されているのが発見されたのだ。
形は人間のように見えるが、明らかに異様な形で異様に大きかったという。
しかもその足あとは海中から人々の住む町へ向かっていたため「謎の海底人現る!」と国内のマスコミが発表し大騒ぎになってしまったのだ。現在、この足跡の主は不明であるが、フィジー国内および海外の人間が自然あふれる豊かな海国、フィジーに謎の怪物の幻想を抱いたのはごく自然なことなのかもしれない。
もしかすると上陸した海底人の正体は、過去笑いものにされてしまった人魚の本当の姿だったのもしれない。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)
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