人魚は日本でも古くから「妖怪」の一種として扱われていたため、全国に人魚にまつわる伝説、画、そして写真が残されている。
そんな人魚写真のなかで最近事務所内で「もっともリアル」と話題になっている写真がこちらである。
この人魚写真で注目すべきはその顔。そして目である。いかがだろうか。かなり虚ろな目をしているのがおわかりになるだろう。目つきはなぜか流し目で、表情もうつむき加減で、まるで世間の目を怖がっているかのようである。
この人魚は全身がウロコに覆われており、背中から生えた突起物はまるでオコゼが持つ鋭い背びれのようである。この人魚もオコゼのように毒を持っていたのであろうか…。
さらに不気味なのは頭からすらっと伸びた髪のようなものである。髪は腕まで到達しており、かなり長いことがわかる。日本に残る人魚のミイラはなぜか男性モチーフの坊主姿が多い。今回の人魚は「美人」とは言えないものの女性的なイメージを保っている点でかなり珍しいといえるだろう。
さて、この人魚のミイラは本ミステリー記事でもなんどかご紹介している大分県の別府温泉にあった「八幡地獄の怪物館」所蔵のものである。
「怪物館」のミイラは写真こそ数多く残っているものの、そのほとんどは職人が作った工芸品とされている。
前述の通り、人魚は日本では怪物や妖怪の一種として扱われていたため、西洋の「マーメイド」のような可憐な女性としては描かれていない。
このミイラはそんな日本人魚へのイメージを払拭させるために職人が頑張って作ったものではないかと推測できる。
そう思うと、この不気味な人魚も若干愛おしくなってくる…かも?
(山口敏太郎事務所)