2000年代初頭、ある親が自分の子供たちを暴走族時代の後輩に預けたところ、その後輩によって子供たちが川に投げ込まれ、幼い兄弟が死亡した事件があった。
この殺人事件に関する不思議な話を知っている方より、筆者宛にメールを頂いた。その人は奇妙な体験をしたのだ。
「ある時、幼い兄弟が私の夢の中に立ちました。最初はわからなかったのですが、その兄弟は殺人事件の犠牲者でした。その兄弟が言うには、『僕らが流された川は想い川っていうんだ。その川の意味を調べてよ』と主張してくるのです。昨夜で4回目です。私はこういう事はあまり体験したことがなかったのですが、どうにも不思議に思い、山口さんにメールをしたためた次第です」
このようなメールを、読者の方から頂き、私は犯罪の現場となった「想い川」の由来や伝説を調べた。
すると、「想い川」には、子供の人形やおもちゃなどを流す”形代ながし”の習慣があったのだという事がわかった。
つまり、「想い川」は子供が元気で生きていけるように、子供にまとわりつく不浄なモノを流す行事が行われている川なのだ。あまりにも皮肉である。しかも、それは現在でも行われている。気の毒な事に、彼ら兄弟は子供の不浄を流す川に”人間かたしろ”として流されたというわけだ。
「自ら因果のかたしろになったという事である」
馬鹿な親の業を背負い、自分の不幸を背負いながら流されたのだと想うと、私自身も胸がしめつけられた。
こういう不幸な子供を作らない責任が、私たち大人にあるのだと痛感した。
監修:山口敏太郎事務所