今大会の運営に携わった東京マラソン財団は、警視庁に対し4500人の警察官の動員を要請。警視庁はランナーの中に紛れて走る“ランニングポリス”64人を投入した。財団が手配した警備員6000人を合わせて総勢1万人を超える警備態勢に加え、防犯カメラも昨年大会の約2倍の21台に増設していた。
さらにマラソンコースの中間地点に位置する東京・銀座商店街の銀実会(ぎんみかい)にもボランティアを仰いだ。その名は『チームセイフティ』。大会前には専門官による爆弾処理訓練などにも見学という形で参加。一般市民に警備補助を依頼するほどの尋常ならざる事態だったのだ。
チームセイフティは70〜80人で構成され、担当したのは不審物、不審者の発見と警察への通報。銀座周辺を巡回することでの抑止力効果も狙っていた。
「とはいえ、チームセイフティは商店街で働く一般市民。そんな普通の人々にも協力を願い出る必要があったのは、今回の東京マラソン、いやTOKYOがテロのターゲットになった…こんな緊急シグナルが多数、アメリカのCIAやフランスの対外治安総局、イギリスのロンドン警視庁テロ対策指令部などの捜査機関から寄せられていたからです。皆、本当にピリピリしていました。山梨のオウム真理教本部に強制捜査に入る前のような緊張感でした」(警察庁関係者)
今年で9回目となった東京マラソンは、毎年3万5000人ものランナーが参加し、約100万人の観衆が沿道を埋め尽くす日本が世界に誇る観光イベント。テレビ中継も入り、フジテレビと日本テレビが隔年で担当し、リアルライブ映像として世界で放映している。
そんな東京マラソンで万が一にもテロが勃発すれば、日本の安全神話は一気に崩壊する。2020年に開催される東京オリンピックを成功させるためには、何が何でもテロを未然に防がなければならない。今回の情報を受け警察庁は、総理官邸など重要施設への警備を強化するよう、あらためて全国の警察本部に通達していた。
「安倍内閣は、緊急時に対し自衛隊や米国海軍、陸軍にも協力態勢を取れるよう根回し済みだった。人質殺害画像で名指しされた以上、警戒レベルを上げるのは当然のこと」(永田町消息筋)
首都の治安を守る警視庁も、独自の動きを始めていた。中東事案を担当する警視庁公安部外事三課、通称“ソトサン”に対し、『イスラム国』に関する情報を探らせているというのだ。
「ソトサンは、組織の動向や国内に潜む不審者の炙り出し、行確(行動確認)に努め、メディアに報じられないが地道にガサ入れを行い、地道に結果を出してきました。入管とも緊密に情報をやり取りしています。ソトサンの情報収集は、あのCIAも一目置くほどです」(警視庁関係者)
この関係者によれば、最近になって日本の捜査機関が混乱をきたすようなテロ情報がアップデートされたという。ジャーナリスト・後藤健二氏を殺害したとされるジハーディ・ジョンの『日本人はどこにいようと虐殺される』というあの言葉を思い出させるかのような悪魔のテロ計画の一部が明らかになったというのだ。