社会部記者がこう話す。
「実情を告発したのは、国際人権NGO『ヒューマンライツ・ナウ』(本部・東京)です。同団体の報告書によれば、工場では従業員らが夏場にエアコンの無い室内に閉じ込められ、38度の気温の中で作業させられているという。また大量発生する綿ぼこりで綿肺、職業喘息、呼吸不全の危険に晒されており、昨年7月には漏電による死亡事故も発生している。さらに品質維持の重い罰金制度もあって、労働者は勤務環境を『地獄!』と断じているのです」
ただ、こうした劣悪環境にさらされているのはなにも『ユニクロ』の工場ばかりではない。中国国内にはこうした工場はゴマンとあるからだ。それを認識しながらも中国政府が怯えているのには、さらなる理由が存在するという。
「今や中国全土では、こうした待遇の不満を訴える暴動が次々と起きている。死亡事故も日常的に頻発しており、昨年夏には江蘇省にある金属製品工場で爆発事故が起き、75名が死亡。暮れには広東省の自動車部品工場で、17名が死亡する爆発が発生しているのです。つまり、生死に関わる劣悪な労働環境から政府を逆恨みする労働者が急増。これが政府を震え上がらせているのです」(国際部記者)
ちなみに、習近平国家主席は今年元旦に「腐敗を必ず処罰する!」と演説し、官僚腐敗の撲滅を加速させたが、これは「労働者対策」ともっぱら。もはや政府は、労働者らのガス抜きに汲々としている状態なのである。
「中国の給与水準は年々上がっているが、労働者らの賃金は官僚の比ではない。その格差が習政権の首を絞めているのです。事態を重く見た習主席は、最近になって労働争議や暴動の件数の公表を取り止めたが、中国経済は極めて危険な状態にあるのです」(同)
“世界の工場”の暴発は、間近といえるのかも。