選挙アナリストがこう解説する。
「解散の理由は3つあります。1つは国会の会期延長が二転三転していることです。6月26日に会期末を迎える中、自民党の森山裕国対委員長が、それまで会期延長はないと断定的に言っていたのを『新しい法案の提出があるようなので、会期延長はないということを言う時期ではない』と微妙に軌道修正した。新法案はAIなど最先端技術を活用したスーパーシティ構想の国家戦略特区法改正案。しかし、この法案成立は期日不足で無理。すると今度は自民党幹部が会期延長しないことを言及した」
会期延長をめぐりブレブレになった真相はどこにあるのか。
「26日の会期末を前提に、もともと参院選は7月4日公示、21日投開票の予定だった。しかし、この日程に合わせて安倍首相が衆参ダブル選を行うなら、G20会合前の衆院解散が必至。その場合、G20は解散後で世界に対してメンツが立たない。解散ならG20後、国際的ホスト役を果たし、存在感を強めたうえでの解散のほうが安倍首相にとっては追い風となる。だから会期延長し28、29日のサミット後の解散を模索したのです」(同)
しかし、予期せぬ2000万円問題が起きた。野党からの追及を恐れ国会会期延長は安倍政権にとって不利と判断したようだ。
「解散理由の2つ目は、安倍首相は自民党幹部らと長時間の密談を重ねていること。段取りと政策のすり合わせでしょう」(同)
まず、自民党の岸田文雄政調会長と6月3日夜に首相私邸で約1時間密談。岸田氏の私邸訪問は解散直前の恒例のようなもので、前回は衆院解散直前の2017年9月23日。今回は参院選の公約のほか、衆院解散についても話し合われたと見られている。
麻生財務相とは4月30日、私邸で約2時間会談。麻生氏はこの時、衆参同日選を進言したといわれている。この他にも6月3、4日と続けて会談している。
二階俊博幹事長は6月4日、官邸で約40分間の会談に及んでいる。
「選挙関連の重鎮との地ならしは終わった。3つ目の理由は4日夜に公邸でJPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストらエコノミスト4人と会食していること。解散に向け、消費税への最終判断の参考にしたと思います」(同)
7日、自民党は参院選の公約に消費税10%アップを明記。しかし依然、こんな不穏情報が飛び交っている。
「解散なら消費税凍結はまだある」
政界は“まさか”だ。