女性はPTSD(心的外傷後ストレス障害)になったとして、今年6月、元職員と市に計約640万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。
訴状などによると、元職員は昨年7月12日午後0時25分頃、女性宅を訪問。保険料を徴収後、帰り際に「若い子から元気をもらおうかね」と言って抱きついた。女性はPTSDと診断され、現在も仕事を休んでいる。
元職員は暴行罪で熊本簡裁から罰金10万円の略式命令を受けたが、「刑事裁判で争いたい」として納付せず、同年12月、同簡裁で罰金10万円の判決が確定し、既に罰金を支払っているという。
女性の弁護人によると、今年4〜5月頃、市に慰謝料などを求めたが、市が応じなかったため提訴に踏み切った。
市によると、元職員は08年4月に国民保険料徴収を担当する嘱託職員として採用され、女性宅への訪問は2回目だった。調査に対して、抱きついたことを認めたため、昨年8月に解雇した。市では「正職員の懲戒処分ではない」として、男性の解職を公表していなかった。
裁判で元職員は「手を回して軽く触れた程度で、暴行罪に当たらない」と主張している。市は争う方針。
幸山政史市長は7月9日の定例会見で「嘱託職員とはいえ、市としての一定の責任はあると思っている。被害者には申し訳ない。裁判の中で市としての考えを主張していきたい」と述べた。
(蔵元英二)