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熊本地震が引き起こすM7関東直下型! 震源は「見えない活断層」(2)

 では、都心で直下型地震が起きるとどうなるのか。
 高層ビルは直下型地震と長周期地震動(ゆっくりとした大きな揺れ)に非常に弱いとされるが、防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏はこう言う。
 「長周期地震動は、震源との距離関係が問題となる。新潟中越地震が起きた2004年、実に300キロ近く離れた東京のビルのエレベーターのメーンワイヤーが切れ、あわや箱ごと地上に落下する事態が起きた。しかし、東京直下が震源の場合はその心配はないでしょう。ただし問題は、足元の揺れに高層ビルがどこまで耐えられるかです」

 昨年1月に放映された『NHKスペシャル』では、大阪直下の上町断層でM7.6の激しい揺れが起こった場合の高層ビルをCGを使い再現していた。それによると、国の耐震基準を満たした設計でも、基準の3.2倍の猛烈な揺れに見舞われ、13秒後にはビルの一階部分と最上階が変形。低層階の柱や梁が折れ、倒壊するという結果となった。
 「熊本地震では、M6.5とM7.3の大地震が相次いで起こった。そうした想定外のことが起こらない限り、私は高層ビルが倒れるということはないと思っています。しかし、それ以外の一般の住宅は一瞬にして倒壊し、多数の犠牲者が出るでしょう。火災も心配されます」(同)

 安政江戸地震は、阪神淡路大震災を上回る史上最悪の被害をもたらした直下型地震だった。それから160年余りが経ち、都市計画は立体的になった。東京では地下の空間も最大限利用しようと計画が進んでいる。
 「たとえば、飯田橋推定断層が間近にある飯田橋駅付近は、JR中央・総武線のほか、外濠の下に地下鉄4線が走る。そのため、地震が起きればここから大量の水が流れ込み、数千人単位の溺死者を出しかねない危険地域とされています。国の有識者会議ではM7級の首都直下型地震が襲った場合、犠牲者が2万3000人に上るという被害想定を出していますが、果たして、それで済むのか疑問です」(地震研究者)

 現代の東京で直下型地震が発生すれば、間違いなく“都市型複合災害”となる。首都高速、新幹線、湾岸コンビナートで災害が起きるなど、死者が100万人ぐらい出ても不思議ではないというのだ。
 「注目されているのは中央構造線だけではありません。東日本大震災では宮城県牡鹿半島が太平洋側に5メートルも移動したが、関東地方は50センチしか動いていない。その残された歪みを戻すために関東地方の地殻が動く時がいつかやって来るのです」(前出・サイエンスライター)

 その時が今、急速に近づきつつあるのか。

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