完全に歯車が狂い始めている。前残りの展開に泣いた皐月賞(3着)から、1番人気に支持されたダービーでは7着に敗退したフサイチホウオー。そして、秋初戦の神戸新聞杯にいたっては12着に惨敗した。
「前走は前に壁ができず、闘争心を欠いてしまった。馬込みでレースができていれば違った結果が出ていたかもしれない」
松田国師はトライアルの敗因を振り返る。
先週の秋華賞では繊細な牝馬の精神状態をうまくコントロールした。ケイコではダイワスカーレットの闘争心を内に秘めさせる調整を施し、これが功を奏した。今回は逆の方法で、中間はあえてホウオーの気持ちを前面に引き出すような攻めの調教を繰り返した。
「男馬の場合はこれくらいビッシリと追い切る方がいい。この中間からいい気合が表に出てきている。父ジャングルポケットの猛々しさが出てきたね」
前走で足りなかったメンタル面は強化された。あとは4連勝したあのころの底力を信じるだけ。トレーナーは最後の1冠に向けての巻き返しを誓った。
「いかに馬込みの中でロスなく競馬ができるかどうか。じっくり脚をためて行ければ巻き返しのチャンスはあると思う」
クラシック候補ナンバーワン…そう呼ばれた力をもう一度、信じる。
【最終追いVTR】安藤勝騎手を背に、坂路で800m51秒5→37秒8→12秒7。ゴール前ではステッキ3発が叩き込まれる激しいケイコとなった。鞍上からの気合に応え、終いは力強く伸びて併走馬に2馬身先着。この中間を含めてハードに追われていて、3000mへ対応できる息はできあがった。