秋のマイル王決定戦に音無調教師が、「これが最後の一戦。手抜かりはないよ」と完全燃焼を誓う天皇賞馬カンパニーが有終の美を飾る。
GII戦では何度も勝利の美酒を味わいながらも、過去、幾度となくチャレンジしてきたGI戦では常に善戦止まり。8歳という年齢からも、先の天皇賞・秋では「いくらデキが最高でも」と記者はタカをくくってしまったが、結果はご存じの通り。ベスト距離の毎日王冠で刻んだ上がり3F33秒フラットの鋭脚をも上回る“究極”の上がり32秒9を叩き出し、女王ウオッカを2度にわたり撃破。底知れぬオジサンパワーで待望のGIの頂を極めると同時に、サラブレッドとして生を受けた以上、この上ない種牡馬入りという最高の栄誉を手中に収めた。
苦楽をともにしてきた音無師も感慨深げ。「いつかはGIを勝てると信じていたが、これもオーナーが大事に使わせてくれたおかげ。あのウオッカを2戦続けて倒したわけだし、その舞台がマイラーとかステイヤーが集まる2000メートルの天皇賞・秋というのも価値がある。(種牡馬入りに際し)社台スタリオンステーションもそこを支持してくれたんだよ」
今回は距離が2F短縮されるが、もともとは「マイラー資質が高い」と評価されていた同馬。ラストランへ向け、不安材料は何ひとつない。
「オーナーと相談して引退式はしないと決めていた。だからこそ最後の雄姿を見てもらおうと、前もってマイルCSでの引退を発表したんだ。関屋記念やマイラーズCが本当に強かったからね。レース後の口取りでファンの前に出られれば、最高の引退式になるんだけどな」
こん身の仕上げ。カンパニーが引退の花道を飾る。