「私は昔から男にモテなかったんで、整形したいとずっと思っていたんです。いくらいい服を着たり、痩せていたとしても顔がブサイクだったらどうしようもないですから」
裕子は恋人を作るためには、エステなどの自分磨きよりも、外見を綺麗にする整形をすることが一番の近道だと考えていた。しかし整形にも費用がかかるため、1年前から大学に通いながら、キャバクラで働くようになる。
「まず最初は目を二重に整形しました。いつもアイプチをしていたんですが、化粧の時に時間がかかって面倒だったんですよね」
日本人には一重まぶたが多いため、まぶたを糊で固定したアイプチを施す女性は多い。しかしアイプチは皮膚を密着させるまでに時間がかかったり、糊付けに失敗する場合がある。さらに皮膚への負担も多く、接着剤の連続的な使用により、伸びた皮膚が戻らなくなったり、まぶたが赤く腫れ上がって、ただれてしまうなどの危険もあるという。そこで裕子はまず二重に整形し、毎日の化粧を簡単にした。
「それからは、気になっていたホクロを消したり、鼻筋を整えたり、脂肪吸引したりと、キャバで稼いだお金は、ほとんど整形費用で消えていきましたね」
お金のために夜の世界に飛び込む女性は珍しくない。ではそのお金はどこに使われているのかというと美容整形が多いという。裕子の目的も整形だったため、毎月のように体のメンテナンスに使い続けた。
「当初から、ある程度、整形したらキャバは辞めるつもりでした。それに今、整形のおかげか恋人が出来たんです」
整形をして綺麗になり、恋人を作るという目標を達成した裕子。そんな彼女に、もうそれ以上、キャバ嬢を続ける理由はなかった。今後、恋人との時間を優先していくためにも、裕子は夜の世界を棄てた。もうキャバクラ嬢に戻るつもりはないという。
(文・佐々木栄蔵)