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男と女の官能事件簿 見栄だけのイケメンに殺されたセレブ美人妻(1)

 一時の遊びのつもりがとんでもない事態を引き起こすこともある。男女の仲での多少のいざこざならまだしも、命まで失っては何にもならない。

 2003年8月10日、広島市南区の主婦、岸本早苗さん(36)が、その日の午前中に外出したまま帰宅せず行方不明となった。携帯電話などでも連絡は一切取れない。そこで夫である医師は、11日未明になって警察に捜索願を出した。
 その日の夜9時頃になって、早苗さんの実家にいる母親の携帯電話に、彼女からのメールが入った。最初のメールは、「200万円を12日正午までに夫の口座に振り込んで。メールの内容は夫に伝えて」という文面。どうやら彼女本人のものらしい感じだった。
 その後、さらに「指示に従えば、13日には家庭に戻す」「暗証番号を忘れずに教えて」などと、あたかも身代金誘拐をにおわせるような文面のメールが何度も届くようになった。
 これを受けて、夫の医師は12日の午後に現金200万円を自らの口座に入金した。
すると、その日の夕方6時頃には、福山市内にある銀行の2か所のATMから、入金した200万円と、もとから口座にあった残高をあわせた約300万円が引き出された。
 これを受けて警察は捜査を開始。銀行の防犯カメラの映像などから、現金を引き出した男性をつきとめ、任意で事情を聴取した。

 ところがその男性は、「駅前で知らない男に頼まれただけ」と話した。頼んだ男についても、また早苗さんのこともまったく知らない様子で、ほかにも怪しいところはまったく見当たらない。
 そこで、男性の供述内容などから現金の引き出しを頼んだ男に注目した。そして、早苗さんの携帯電話の電波が山口県下関市内で確認された。そして、14日、下関市内にあるホテルに女性と滞在中で、早苗さんの携帯電話を所持していた自称警備員の根本政文(27)を発見した。そして警察で事情を聞いたところ、早苗さんの遺体を捨てたと供述した。
 警察はすぐに根本が指示した広島県熊野町平谷に急行して捜索したところ、その日の夕方になって、供述どおり山中の林道ガードレール下から袋詰めにされた早苗さんの遺体が発見された。
 警察がさらに根本を追及すると、早苗さんの殺害や彼女の母親に送った身代金要求めいた携帯メールについても、すべて自らの犯行であると認めた。(つづく)

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