芝は新馬戦(2着)を除けば4戦4勝。いまだ底を見せていない。ただ、ユニコーンS4着の実績が示す通り、昨年は芝→ダートを交互に使われた。佐藤助手に理由を求めると、「少し脚元に弱いところがあり、芝ばっかりを使うとパンクすると思ったからね。血統背景(父フレンチデピュティ)もあったし」という答えが返ってきた。
確かに体質は“弱かった”。2005年8月の未勝利勝ち後、昨年の豊栄特別勝ち後と2度も膝(ひざ)を骨折している。「ダートの短距離馬は膝を骨折することが多い。力強くかきこむのもあるし、サイレントはとくに体がついていかなかったんだろう」と説明する。だが、約6カ月ぶりに加え、「60%のデキ。息もまだまだで、あまり仕上げていない」状況下で押し切った前走・アクアマリンSを見る限り、その後遺症は皆無といえる。「叩いてからと思っていたんだけど、地力があるんだろうね。まさにうれしい誤算」と佐藤助手は振り返る。
中間も順調そのもの。もっとも、中3週でレースを使える自体、脚元が弱かったころでは考えられなかったことだ。「悪くはなっていないけど、多少良くなったという程度。まだ65%ですよ」。佐藤助手は冷静に愛馬の現状を語るが、重賞初挑戦にして目イチの態勢を敷かないあたり、陣営の目標はさらに先…6月の安田記念を視野に入れていることが見え隠れする。
「兄スズノマーチ(エプソムC勝ち)とはまるでタイプが違う。何より、まじめで反応がいい。前走の反動もないし、いろいろな部分で強くなってきた」
ダービー卿CTを制せば、春のマイル王の座も見えてくる。ちなみにブラックホークは6歳春、引退レースで安田記念を制すまで足掛け3年の歳月を要した。偉大なる先輩超えへ、国枝厩舎の新星が王道の扉を叩く。