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大阪天王寺の再開発で消える“おっちゃんの聖地”

 今や関西一の開発地域となった大阪は天王寺。“日本一高いビル”あべのハルカスの建設を皮切りに地価は軒並み高騰。そのバブルっぷりは、“阿倍野ミクス”などと呼ばれるほどだ。
 「天王寺は不動産業界でも注目スポットで、大手不動産会社も阿倍野一帯の青田買いに走った。一方、開発後に多くの富裕層が流れ込んだことで、住民に“格差意識”が強まったことは間違いありません」(大阪の不動産関係者)
 店舗の急増で天王寺のアパレルショップは人員を確保できず、アルバイトの求人が時給1000円を超える事態にもなった。

 まさに激変を遂げる天王寺だが、一方で古き良き“オヤジの街”のイメージも消滅しつつある。
 「天王寺は今、大型ショッピングモールの登場で若者の街となっていますが、もともとは西成や新世界が近いこともあり中高年の街だった。その象徴となっていたのが、駅前にある天王寺公園。ベンチで将棋を指すおっちゃんたちの姿は、大阪の名物とまで言われていました。在阪テレビ局のスタッフの間では『ネタがなければ天王寺公園に行って面白いおっちゃんを探す』というのが鉄板だったのです」(地元紙社会部記者)

 しかし、そんなオヤジたちの聖域も時代の流れには逆らえず、市の委託を受けた近鉄不動産が今年7月15日から天王寺公園のリニューアル工事に着手。10月1日に新エントランスエリア『てんしば』として生まれ変わった。
 「『てんしば』は、それまのイメージを一新し、カフェや子供連れが遊べる芝生スペースもある。逆に中高年男性は公園を追われ、すっかり居場所を失ってしまった。あまりの公園の変わり様に若者たちからも『さすがにこれでは、おっちゃんたちがかわいそうや』との声が聞こえてきます」(同)

 記者が公園を訪れた際、近くのバス停で缶ビール片手に広場を眺めるおっちゃんの姿が印象的だった。

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