「ペナントレース本番を想定し、ベストオーダーを組んだのに大敗。あの負けは痛かった」(在阪記者)
その一戦とは3月20日の対オリックス戦。4番にゴメスを入れ先発はメッセンジャー、しかもオープン戦の特権であるDH制も使わず、まさに本番モードで臨んだ“関西ダービー”だったのだ。
結果は3安打の完封負け。しかも、うち2本は内野安打というお寒い結果だった。
「この時点から対外試合10戦をさかのぼっても、全部1ケタ安打。開幕投手候補のメッセンジャーも5回5失点では、ワンサイドで負けたのも当然」(同)
80周年メモリアルの開幕投手が外国人というのも寂しい限りだが、若きエース藤浪晋太郎の調子がイマイチなのも気になる。
「藤浪は得点圏に走者を背負うまで“脱力”で投げるマエケン投法の魔法からまだ覚めていないんです。藤浪が15勝に届かなければ、阪神は優勝ラインの80勝強に届かないかもしれません」(ベテラン担当記者)
藤浪は自主トレで広島の前田健太投手に弟子入り。脱力投法はそこで学んだようだが、1カ月程度で完全マスターできるほど甘いものではない。まして、今季は先発投手の頭数が足りない状況でペナントレースに突入する。緊急トレードを模索したが、補強できたのは登録枠で一軍起用することができない5人目の外国人投手だけだ。
「2013年WBCプエルトリコ代表のマリオ・サンティアゴ投手を獲得しました。球団も一軍登録枠がネックなのはわかっての獲得です。要するに、将来、外国人選手を獲るための中南米ルートを確立するためです」(球界関係者)
そんな余裕はとてもないはず。加えて守護神・呉昇桓の周辺が、にわかに騒がしくなってきた。
「メジャー行きの噂が再燃しつつある。2年契約を満了する今オフ、米挑戦するとの話が出て、呉昇桓本人が『通訳の間違い』と否定していましたが、投球スタイルがメジャーモードになっているんです」(同)
呉昇桓は“落ちるボール”の必要性をチームから指摘されていた。その中でツーシームを選択したのだが、それはメジャーの“流行ボール”でもある。
「もっとも、不安な材料は呉昇桓につなげるまでの中継ぎ陣なんですけどね」(前出のベテラン記者)
三塁に強制転向させられた西岡剛も、割り切れていないのか打撃不振のまま開幕を迎える。こんな調子では、トラの80周年は悪夢一色になりかねない。ライバル巨人も不調なのが、せめてもの救いだ。