ダート界の韋駄天ジョイフルハートが圧倒的な支持を集めているが、なぜか陣営の表情が暗い。
いつもなら坂路800mを馬なりで楽に50秒を切るジョイフル(12月28日は49秒0=馬なり)が3日の追い切りではまったく行く気を見せず、一杯に追われてようやく51秒1の“凡タイム”に終わったのだ。
その理由のひとつには、中間に発症したフレグモーネ(急性化膿症)が挙げられる。宮本助手は「その影響だとは思いたくないが…」と否定したものの、昨年11月の京阪杯の目標をこのガーネットSに変更せざるをえなかったのだから、影響していないわけがない。現に「追い切りを見てちょっと自信が揺らいできた」と悲観的なコメントも残している。520kgに増えた馬体を絞るのに、輸送に頼らなければいけないというのも引っ掛かるところだ。
また、これまで手綱を取ってきた天才・武豊騎手も騎乗停止で不在。59kgのトップハンデに加え、初の中山。ゴール前の急坂に対応できるのかも疑問が残る。さらに、データを見ると過去10回のガーネットSで6歳馬が一度も勝っていない。ここは2着までの評価としたい。
そこで特捜班が目をつけたのは牝馬サチノスイーティーだ。
昨年のアイビスSD(1着)で見せたその絶対的なスピード能力はジョイフルと比較してもまったく見劣りはなく、短距離界の新ヒロイン誕生を印象付けた。林調厩員も「鞍上(鈴来騎手)がレース後に『他の馬とはスピードが違いすぎる』と言ったぐらいケタが違う」と胸をはるほどだ。
ダートは久々になるものの、デビュー当時に3戦経験。まだ心身ともに完成しきっていない2歳時に(4)(1)(4)着は決して悲観する結果ではないだろう。加えて、父カリスタグローリ産駒はダート短距離馬を多く輩出し、母父はアフリートと、バリバリのダート血統であることも強調できる。
前走は3着に終わったものの、3カ月ぶりでプラス22kgの重め残り、芝が荒れた最終週と悪条件が重なっていた。それでいて、勝ち馬から0秒1差に粘ったことは高く評価できる。地力の高さを見せつけたといってもいいだろう。
もちろん、1度叩かれた効果は絶大で同厩務員は「状態は文句なし」とキッパリ。現に3日にはWコースでラスト1F12秒6(馬なり)と軽快な走りを披露している。ハンデも据え置きの52kgと恵まれた。ビッグなお年玉を運んでくれるのはこの馬で間違いない。