「テロ殲滅の実行部隊として期待されるのが、サブマシンガンや自動小銃で武装したSAT(特殊急襲部隊)です。警視庁のほか北海道、千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡、沖縄の8都道府県に配備され、300人余りの精鋭部隊が控えている。連携を取りながら対処することになるだろう」(捜査事情通)
日本に刻々と迫りつつある危機に対し、安倍晋三首相は警察庁や外務省、防衛省、内閣情報調査室、公安調査庁などから職員を人選し「国際テロ情報収集ユニット」を発足させる。
来年5月に三重県で開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や、2020年東京五輪がテロの標的になっていることを理解しているからだ。
平行して首都の治安を司る警視庁も独自の動きを始めている。
「警視庁公安部外事三課、通称“ソトサン”がイスラム国に関する情報を収集しています。中東事案を担当する組織の動向や、国内に潜むイスラム国ファンの『HGT』(ホーム・グランド・テロリスト=自国育ちテロリスト)、信者を炙り出し、行確(行動確認)やガサ入れを行うなど、地道に成果を出してきた。“ソトサン”の情報収集力はCIAも一目置くほどですから」(警察関係者)
そんな中、“国際テロ情報収集ユニット”や“ソトサン”に早くも様々な危険情報が多数寄せられているというのだ。
「日本の原発がターゲットになっている。あるいは新幹線や地下鉄を放火させるなどといった情報です。また、注目されているのが、20年前に地下鉄サリン事件(1995年3月20日)を起こしたオウム真理教の元信者や幹部らがISに接触しているとの情報がCIAから寄せられていることです。一般市民に対し、化学兵器を使った史上初のテロ事件として、世界を震撼させたことから、ISも一目置いていた。オウム事件では多くの一流大学の学生が洗脳された。あの一件を考えれば、ISに同調する日本人や新たなHGTが出て来ても何ら不思議ではない」(前出・捜査事情通)
さらに、政府や警察関係者が最大の関心を寄せているのがドローン(無人機)を使用したテロだという。
「まだ無免許で誰でも購入できる。ネット情報で爆弾も製造できるから、細菌兵器、あるいは放射能物質などを積んだドローンが数百機単位で攻撃してきた場合、対処のしようがありません」(捜査関係者)
こうした情報を受け、政府は新たに石川、京都、兵庫、新潟、静岡、青森などにもSATを増設する方針を固めたという。
「警察庁と警視庁は首都警備という名目でサブマシンガンを携帯したERT(緊急初動対応隊)を新たに編成した。24時間体制で有事に備えています。だが、それでも人材が足りない。自衛隊の特殊部隊が首都圏に常駐できる編制も検討中です」(政府関係者)
11月23日午前10時ごろ、東京・九段北にある『靖國神社』南門付近の公衆便所内で爆発音がした。
現場に仕掛けられていたのは、時限式発火装置と見られ、防犯カメラには黒っぽい服装をした不審者が映っていた。
「テロか過激派の犯行かは分からないが、23日は祝日で新嘗祭や七五三の親子連れなど多くの人でにぎわうはずだった。東京のど真ん中で起きた事件だけに、テロの恐怖は対岸の火事ではない」(公安関係者)
ローマ法王自ら「第三次世界大戦」と言わしめたISのテロ攻撃。テロの危機に日本も晒されていることを改めて自覚すべきだ。