『旗揚げ記念日』では棚橋弘至と中邑真輔が一夜限りのタッグを結成したり、棚橋がプリンス・デヴィット(WWEのフィン・ベイラー)と、オカダ・カズチカが飯伏幸太と、当時のIWGPヘビー級とジュニアヘビー級の王者対決をそれぞれ行うなど夢のカードを実現させてきた。当時、デヴィットは棚橋との試合からバレットクラブ設立へと加速していくことになった。昨年はオカダがタイガーマスクWとのドリームマッチを提案し、札止めの観客が集まった。
「久しぶりにIWGPヘビー級王者とIWGPジュニアヘビー級王者のチャンピオン対決がしたいな」
2.10大阪大会でSANADAの挑戦を退けたオカダは、所属するCHAOSの同門であるIWGPジュニアヘビー級王者、ウィル・オスプレイとの対戦をアピールした。オスプレイはイギリスで試合を観たオカダが惚れ込んでスカウトしたという経緯もあり、1994年2月の橋本真也対獣神サンダー・ライガーから始まった、ヘビー級とジュニアヘビー級のチャンピオン対決はここまで試合内容が期待外れに終わったことはない。オカダをキリキリ舞いさせるオスプレイの速い動きに、オカダがどのような対応を見せるのか期待したい。
また今大会では棚橋弘至とともに地上波への露出度が高い真壁刀義が、先シリーズで勃発した鈴木みのるとの因縁を決着させるため、IWGPインターコンチネンタル王座に挑戦する。
「“鈴木みのらず”の野郎(を)、コテンパンにやるのがこの俺の夢だ。あの野郎から(ベルトを)獲るから意味があんだ。それだけだ」
真壁はこれまでIWGPヘビー級王座、NEVER無差別級王座とは縁があったが、インターコンチ王座に関しては不思議と縁がなかった。タッグパートナーの本間朋晃が長期欠場中とあって、最近はシングルでもタッグでも王座戦線からは離れていただけに、このタイミングで真壁という世間的に知名度がある選手を狙い撃ちしてくる、みのるの嗅覚も大したものだ。
「お前がテレビの向こう側の人気者になってる間、俺がどこにいたか知らないだろ? 今食う物もない、明日生き残ってるかどうかもわからない、そんなところで毎日毎日、メインイベントのタイトルマッチのリングに毎日上がってたんだ。テメェが頑張ってタレント気取りでテレビに出てる間だ。それが俺とお前の圧倒的な違いだ」
と、みのるは真壁の存在をバッサリ否定していたが、おいしくない獲物は狙わないのが、鈴木みのるというプロレスラー。そこには何らかの理由が必ず隠されているはずである。
一方の真壁は今回挑戦が決定したことで、優勝すれば3大タイトルのいずれかに挑戦できる『ニュージャパンカップ2018』にエントリーされなかった。このタイトルマッチは一発勝負で勝ち取らなくてはならない。現在の真壁は、永田裕志ら第3世代と、棚橋世代の間というポジション。みのるのようにチャンスをしっかりとモノにしなければ、今後の立場にも影響しかねないだけに、ここはベルトを獲りたいところ。
東京ドームなど大会場で観るとわかるのだが、真壁やみのるの“わかりやすい”プロレスは、初見の観客の心をつかみやすい。今大会はそんな2人によるタイトルマッチに注目したい。
取材・文 / どら増田
カメラマン / 広瀬ゼンイチ