彼はとてもSっぽい人で、そんな部分に惹かれて付き合うようになりました。Sと言っても見た目や言葉使いが荒っぽいだけで、直接的な暴力は振るわれたことがないのですが、ベッドの上でだけは、それが少し過激になってしまう時もありました。その人はとにかく相手を服従させることが好きみたいで、よく私を謝らせたり、縛られて顔を踏まれていました。でも、ベッドの上なのでそこまで痛くないですし、私もそれを少し楽しんでいたんです。でも、それが彼をエスカレートさせてしまったのかも知れません。
そんなある日、彼は「(私が)もし事故で腕を失っても好きでいる」と言ってくれたことがありました。最初は、どんな状況になっても愛してくれるんだと思い、嬉しかったのですが、よく聞くと「腕のない人の方が、どっちかっていうと興奮する」と、私が感じた意味と違うようなことを言い出したんです。やはりこの人は、どこまでも自由が奪われた人が好きなんだなと思いました。
ある時、ロープで縛るなどのプレイが物足りなくなったのか、ズダ袋を被せてシタいと言い出しました。上半身の手足や顔がなくなって見えるのが興奮するんだと思います。断るのが下手な私はそれも受け入れ、袋をかぶりながら彼の言いなりになりました。でも、それからしばらくして彼は私に飽きたのか、あっさり捨てられましたね。あの頃は、その人のことが好きで周りが見えませんでしたが、今、考えると本当に怖い人と交際していたなと思います。
写真・Carlos Ebert