「オーナーからは『気楽にやってくれ』と言われているが、それは逆の意味でとらえないといけない」
新指揮官・高橋成忠師にズシリとのしかかるプレッシャー…。しかし、ジョッキー時代には1000勝トレーナー・佐藤勇師(厩舎)の主戦として活躍、1967年にはリーディングジョッキーの座に輝き、調教師に転身してからは騎手時代の豪腕ぶりに緻密さを体得、順風満帆に今日に至る高橋成師なら、昨春に2冠達成後、らしさの見られないサムソンを再生させることなど決して高いハードルではない。
前任の加藤厩務員から世話役を受け継いだ中田厩務員も、かつては93年のフェブラリーH(現フェブラリーS)を制したメイショウホムラを担当するなどの腕利き。
また、厩舎外部でもサムソンへのサポートはしっかりと引き継がれている。「(ケイコを)やるたびにカイ食いが良くなり、闘争心が出てくるのがこの馬の特徴です」。有意義な中間のグリーンウッドでの放牧にお墨付きを与えるのは、瀬戸口厩舎時代から健康管理を陰ながらに支えてきた担当獣医師の時見謙一郎さんだ。
そして、何より、リスタートを切る直前追い(28日)にまたがったこの人の談話が心強い。「併せたら時計(DWコース=6F76秒6)が出るね。やっぱりダービー馬」。言葉の主はもちろん、デビュー以来15戦、肌身離さず手綱を握ってきた石橋守騎手だ。その主戦に、昨春当時の歯切れの良さが戻ったとあれば、捲土重来を期す07年GIロードには一点の曇りもあるまい。