同店は1977年に開店。ビジネスシューズのディスカウントやシークレットシューズなどで業績を伸ばしていたが、バブル崩壊とともに売り上げは急降下。
「そこで店頭に掲げた『もうあかん やめます!』の垂れ幕が人気を呼び、その後も『大阪一安いとうわさの靴店』、『格差社会を是正せよ。身長の格差は当店で。人は見た目が9割だから!』といった、思わずニヤリのキャッチコピーを連発。西天満の名物靴店として親しまれてきたのです」(地元記者)
しかし、ここ最近は店主の竹部浅夫さん(74)が体調を崩したこともあって休業がちになり、さらに近年の大型靴店の台頭で経営がさらに圧迫され閉店を決断したというのだ。
そんな中、ここへ来ての運営は、“閉店”前のセールのために結成された贔屓や関係者による“応援隊”によって行われているのだが、そのメンバーの一人、吉井正彦さんがこう語る。
「“いよいよ閉店”と言い続けてきたのは、あくまで大阪の商人としての愛嬌。でも今回は本当にあきません。今までが今までなので信用してもらえないようですが、店舗の老朽化も進み賃貸契約も終了する。今後どうなるかも聞いていません」
時代の流れには逆らえないということか。そして、吉井さんはこうも言う。
「最近、大阪市内では、長く続いた名店や話題の店がひっそりと幕を下ろすというケースが増えています。そういった店は、大阪を支える一つの文化。終わり方も歴史に残していかなあかん。だからこうやって盛り上げているんですよ」
取材時、店内には「やめるやめない投票盤」が設置され、「やめない」の方が「やめる」をリードしていた。お祭り騒ぎの結末や如何に。ちなみに閉店セールは2月20日午後3時までだった。大阪から昭和の灯がまた一つ消えた。