「NECネッツエスアイ」と「ネッツエスアイ東洋」の調査によると、経理課長は05年7月頃から、小切手の二重振り出し及び不正な裏書による現金化などで、約8年間で総額約15億円を着服していた。
「ネッツエスアイ東洋」の事務処理改善活動のなかで、不明な売掛金があることに気づき、調査を行った結果、13年12月末に、経理課長の不正が発覚した。銀行残高証明書などの偽造や不正仕訳を行うなどの方法で、発覚を免れていた。
経理課長は着服した金を、ネット競馬を中心にしたギャンブルに使用しており、同社の事情聴取に対して、「競馬にお金をつぎ込み、損を取り返そうと、さらに着服を重ねてしまった」と話しているという。同社は、男性を懲戒解雇とし、業務上横領で刑事告訴も検討する。
同社は各年度における被害額を確定し、該当する各年度において、相当額の営業外損失を計上する予定。
自動券売機、貨幣識別装置などの開発・販売、通信システムなどの装置・システムなどを手掛ける同社は、05年5月に設立され、資本金4億円、従業員約250人。12年度の売り上げは約100億円。
親会社のNECは「コンプライアンスの徹底に取り組んでまいりましたが、このような事態が生じたことは誠に遺憾です。早期の全容解明と再発防止策の策定・実行を望むとともに、当社としても本件を真摯に受け止め、NECグループの内部統制のさらなる強化を図ってまいります」とコメントしている。
着服した経理課長も問題だが、8年間で約15億円も着服されながら、発覚しなかった管理体制にも問題がありそうだ。
(蔵元英二)