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謎の祠出現! 山神の意図とは

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画像はイメージです。

 古来から山には神が住まうという伝説がいくつも存在する。共通するのは豊穣の神、山の守護神などであることと、禁忌(タブー)を犯す者に祟りを与えること。共通する点が2つある。命を与えるとともに奪いもする二面性があるのである。

 1月末、ミステリー作家である私、山口敏太郎のブログ「妖怪・都市伝説・WAワールド「ブログ妖怪王」に1枚の写真が投稿された。上のワンショットがそれで、黒い靄(もや)とその背後の祠(ほこら)が視認できるだろう。
 この祠は熊本県の山中で撮影されたもので、扉は硬く閉ざされていたという。祠の近くに「ここに置かせてください」との立て札があったというからではないが、黒い靄が怪しげな雰囲気をかもし出している。幽霊は白いものであれば人に害を齎(もたら)さず、黒いものは人を恨み呪うものであるといわれている。これらのことから、黒い靄を滲(にじ)み出させているこの祠は、邪悪なものが潜んでいるのではないかと推測される。
 熊本県には多くの山がある。その中でも有名なのは、世界最大級のカルデラを持つ阿蘇山。
 活火山であり、「火の国」と謳(うた)われる熊本にふさわしいシンボルである。火山神である阿蘇都彦と阿蘇都媛の2神から名が付けられており、山の神とのつながりが深い。この2神が祠に封印されているのかというと、そうではないらしい。

 熊本県民は火山とともに生きている。彼らが守り神の2神を封印したりするはずがなく、むしろ崇(あが)め奉(たてまつ)り、火山が噴火しないよう願うのが自然であるからだ。
 では、祠には何が収められているのであろうか。ギリシャ神話にはパンドラの箱という一節がある。元々天界にしか存在しなかった火を盗み人類に分け与えた神、プロメーテウスがいた。絶対神であるゼウスはそれを怒り、人類に災いを齎す女性「パンドラ」を作り上げた。彼女に美、音楽や治療の才能、好奇心を与え、最後に絶対に開けてはならない箱を持たせて、プロテメーテウスの弟であるエピメーテウスの元へと送り込んだ。
 美しいパンドラに心を奪われたエピメーテウスは、兄からの反対を押し切って彼女を娶(めと)ってしまう。ある日、絶対に開けてはならないといわれた箱に好奇心を抱いたパンドラは箱を開け放ち、その中からは犯罪や疫病などさまざまな災厄があふれ出る。自分の過ちに気がつき、パンドラは急いで蓋を閉めるが、ある1つのものを除いてすべてが去った後であった。地上には災厄が充満し、人類は絶望に晒(さら)された。しかし箱の中に残った、ただ1つの「希望」によって、人々は絶望からはい上がることができたという。

 いまのご時勢、世間には絶望がそこかしこに存在している。不景気が襲い、派遣切りやリストラが相次ぎ、明日が真っ暗に思えることも多いだろう。つまり、パンドラの箱、もとい山の祠はすでに開け放たれ、再びかたく閉じられた状態になったのかもしれない。そうなると中に残っているのは希望なのだろうか。それとも、さらなる災厄なのであろうか。
 山の神から与えられた1つの祠。開けるも開けないも、滅ぶのも存続するのも人間の心次第である。山の神は、祠を通じてそのようなメッセージを我々人類に送っているのかもしれない。

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