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「渋井哲也の気ままに朝帰り」震災の時には寝ていた… キャバ嬢たちの震災話(1)

 3月11日に起きた東日本大震災は、夜の街にも影響がありました。まずは当日の歌舞伎町からですが、キャバクラ嬢が出勤できない状況に陥りました。そのため、開いている店が少ないのです。もちろん、開いていない店がないわけではありません。しかし、お客はほとんどいません。

 ある客引きは、「ほとんどの女の子は電車が止まってしまったので、来れません」と話していました。

 この日、東京近郊の電車はほとんどがストップしました。そのため、歌舞伎町周辺に住んでいるキャバ嬢をのぞけば、出勤したくてもできない状況になったのです。歌舞伎町周辺に住んでいたとしても、昼間は別の仕事をしていたりすると帰宅困難者になります。出勤できませんでした。

 震災直後は、地震の話題で持ち切りでした。あるキャバ嬢(23)は「寝ていたんです。そしたら、誰かが起こすような感じだったんです。あ、一人暮らしだった。地震だ、って思ったんです。でも、寝てしまったんです」と言っていた。東京では地震の時、寝ていて、起きなかった人もいたという話を、このキャバ嬢以外からも聞いていました。

 ちなみに、この夜、私も、自身が経営する歌舞伎町のバーに出かけている。グラスやお酒類が割れていないか心配だったことと、帰宅困難者である常連客がもしかすると立ち寄るかもしれないと思ったからだ。グラスや酒類は割れているものもあり、片付けをすることにした。その様子は、ツイットキャストでもオンラインで中継したりしました。

 その後、ツイッターで帰宅困難者に立ち寄ってもよいとのつぶやきをしました。結局、誰も来なかったので、ゴールデン街のバーに行きました。その時、ある客が「何かあったんですか? 街に人がたくさんいるけど」と話しかけて来た。地震があったことを説明すると、「本当ですか? 寝ていたので知りませんでした」と驚いていた様子だった。

 「寝ていて起きなかった」キャバ嬢は、東京だけではありません。仙台市の繁華街・国分町で話を聞いた時も、起きなかったキャバ嬢がいました。19歳のキャバ嬢です。この嬢は仙台市よりも内陸部の登米市に住んでいました。登米市といえば、3月11日の地震で最大震度7を記録した場所です。そんな場所でなぜ起きなかったのか、不思議です。

 「あ、地震だ、って思いましたよ。でも、揺れただけです。ぬいぐるみは落ちてしまいましたが、それ以上ではありませんから、また寝ちゃいました。ただ、その後、揺れ続けたじゃないですか。だから怖かったんです。ですが、怖いと思って、布団をかぶっていたら、また寝ちゃったんです」

 震災直後、登米市では停電になりました。そうなると、キャバ嬢にとっても命を同じ携帯電話の電源の供給ができない状態になる。それは、仕事をしている身としては死活問題です。しかし、この嬢は慌てなかったといいます。

 「だって、うちのお父さんが自家発電機を持っているんです。仕事がら、ですかね。だから、携帯の充電もまったくの余裕でした」

 内陸部だからよかったものの、もし、沿岸部で住んでいたら、こうした余裕を持っていると、津波に飲み込まれてしまいかねません。しかし、実際に飲み込まれてしまったキャバ嬢もいたのです。(つづく)

<プロフィール>
渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。

【記事提供】キャフー http://www.kyahoo.jp/

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