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〈企業・経済深層レポート〉超大型航空機の投入で勃発 JALとANAが火花を散らす“ハワイ争奪戦”

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提供:週刊実話

 日本の2大航空会社である日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)が、“ハワイ線”を巡って激突している。

 きっかけは、5月24日にANAが東京とハワイ・ホノルルを結ぶ超大型機「エアバスA380(愛称・空飛ぶウミガメ=フライングホヌ)」を初就航させたことだ。

 「エアバスA380は、520席を持つ総2階建ての世界一の航空機で、エコノミークラスでも横になって眠りながら移動できるカウチシートが利用できる“空飛ぶホテル”です。日本の航空会社ではANAで初めて導入され注目を集めています」(トラベルライター)

 日本からのハワイ旅行者は年間約150万人で、これまで日本からハワイまでの路線はJALの独壇場だった。

 2019年3月時点で、日本―ハワイ間の供給座席数シェアはJALが1位で31%、2位はハワイアン航空の22%。ハワイアン航空とJALは共同運航しており、両社を合わせたシェアは過半数を超える。一方、ANAは15%ほどにとどまっていた。
 そもそも、JALはなぜ、ここまでシェアを伸ばすことができたのか。

 「JALがハワイの定期直行便を初就航させたのは1959年で、ANAの1991年より32年も先行しています。また、1984年から『ホノルルマラソン』のスポンサーを務め、他にもさまざまなスポーツイベントともタイアップしてきました。90年代には専用の特別内装ジャンボ機を投入。客足が途絶える12月初旬の送客に貢献するなど、日本人のハワイ渡航を積極的に支援してきたのです」(旅行会社関係者)

 シェアを伸ばせた理由に、JALとハワイのホテルとの密接な関係性もある。

「ハワイはホテル需要が逼迫しており、旅行時は航空代金もさることながらホテル代の負担も大きくなります。しかし、JALはハワイのホテルとタイアップしてお得なパック料金を作り上げ、旅行者から好評を得てきました」(同)

 こうしてJALはハワイ旅行シェアを拡大し現在に至るのだが、そこに殴り込みをかけたのが今回のANAだ。

 現在、エアバスA380は1機のみの運用だが、7月1日からはさらに2機投入され、合計3機が運用される予定だという。
「これにより羽田・成田発のホノルル線の供給座席数で、JALはANAに逆転されるという事態になったのです」(同)

 しかし、JALにとって長年ドル箱として稼いできた“ハワイ線”において、ANAの殴り込みを、ただ指を咥えて見すごすわけにはいかないため、対抗策を打ち出している。

 前出の旅行会社関係者によると「ハード面で差をつけられつつあるJALは、ソフト面に力を入れている」と話す。
「例えば、ハワイ上空から初日の出を拝める特別プラン『初日の出フライト』を来年の元旦に初実施することを計画中です。さらには、大自然の中で夕陽や星空を堪能するキャンプ型宿泊サービス『グランピング』や、高級別荘をレンタルして自分の家のようにすごす『バケーションレンタル』などの新コンセプトのハワイ旅行を企画しています」(同)

 さらに、JALにはANAにはない強みもある。
「現在、ハワイ島に日本からの直行便を運航しているのは、JALとハワイアン航空のみです」(前出・トラベルライター)

 ハワイ旅行の定番といえば州都・ホノルルがあるオアフ島だが、JALはキラウエア火山のあるハワイ島に力を入れているという。
「人気のハワイ旅行ですが、何度かハワイを訪れている人は、ホノルルでの買い物とビーチでの遊びに飽きてしまっているようです。そのため、ハワイの海と山の大自然の中で自然と一体になり、ゆっくりすごす“ゆとりレジャー”を求める人が増えています」(旅行会社添乗員)

 つまり、常連ハワイ旅行客の間では、自然の多いハワイ島の需要が高まっているというのだ。

 JALもハワイ島にリゾートホテルを構える国内企業やコンドミニアムを多く抱える外資系業者と相次いで提携し、ハワイ島での新たな滞在型旅行を定着させようとしている。
「ただ、日本とハワイ島を結ぶ路線の座席利用率は、まだまだホノルル線を大きく下回っています。さらに昨年5月にキラウエア火山の噴火もあり、客足はあまり伸びていません」(同)

 ANA側にも懸念材料はある。エアバスA380を3機導入して大量座席を準備したものの、採算ベースに乗せられるかは蓋を開けてみるまで分からない。

 ドル箱路線を維持したいJALと殴り込みをかけるANAによる“ハワイ争奪戦”の行方に、今後は目が離せない。

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