そんななか、京王杯2歳Sは関東馬が目下2連勝中と気を吐いている。今年も優勝を狙える有力候補が顔をそろえた。特にノーワンエルスは相当な大物だ。
その片りんを示したのが、前走のカンナ賞。直線最内の窮屈な位置から馬群を割って抜け出した内容は、2歳馬らしからぬものがあった。
「強かったですね。実力を再確認しました」と笑顔で振り返るのは世話役の松本拓調教厩務員。「長所は勝負根性とセンスの良さ。どんな競馬でも対応できますよ」と2連勝に意欲を燃やしている。
松本さんは、この道9年目の中堅。厩務員を仕事に選んだ動機は「馬券好きが高じて、競馬の仕事にあこがれがあったから」と言う。その熱意は業界入りしてからも変わることはなく、2年目には早くもホワイトカーニバルで重賞初制覇(2002年、フェアリーS)。そして、現在の目標はノーワンエルスでのGI制覇と期待を抱く。
カンナ賞の後は、いったん放牧へ。帰厩後はここを目標に順調に仕上げられてきた。前走と比較して、「馬に実が入り、全体的にたくましくなった。動きも力強さを増してます」と松本さん。それを証明するように、最終追い切りは坂路で圧巻の動きを披露した。ロマンシエール(古馬500万)を追いかけてスタートし、最後は逆に2馬身先着。800メートル52秒4→37秒2→11秒9と抜群の切れ味を見せつけている。
「(前々走の)函館2歳Sはイレ込みが激しくて出遅れたけど、もうその心配はない。千四も守備範囲だし、勝って朝日杯FSに弾みをつけたいね」
過去3戦中2戦で最速の上がりを計時しているように、初コースとはいえ、東京がわりは望むところ。東のクラシック候補として名乗りを上げるか、注目の一戦だ。