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〈企業・経済深層レポート〉 6期連続赤字で危機的状況 大塚家具・久美子社長が狙う大逆転

 経営権をめぐる親子バトルで、ここ数年、メディアを賑わしてきた経営再建中の大塚家具。再建への光明がなかなか見えず、同社は来年が正念場になりそうだ。

 というのも11月14日に発表した2019年1〜9月期決算にて、売上高が210億300万円(前年同期比23・2%減)、営業利益は約29億円の赤字。純利益が30億6200万円の大赤字を叩き出したのだ。売上高は’15年から5年連続減収、営業利益は’14年から6年連続赤字だ。

 そもそも、1969年に春日部市に創業した大塚家具は「高級路線」と「会員制」で急激に売り上げを伸ばし、2001年の営業利益は75・2億円を叩き出す。

 しかし、その後は「ニトリ」「IKEA」などの新勢力に押され低迷。また、’91年に約7兆円前後あった日本全体の家具市場が2017年頃には半減。大塚家具もそのあおりを受け、大塚久美子氏が社長に就任した’09年に14・5億円の赤字となってしまった。

「久美子社長になってから一時的に売り上げは復活しましたが、’14年7月に業績悪化を原因に、前社長だった大塚勝久氏によって久美子社長は解任へと追い込まれました」(大塚家具に詳しい関係者)

 しかし、久美子社長が解任されて以降、さらに業績が悪化。’15年1月に久美子氏が社長に復帰したことで創業者一族同士による委任状争奪戦に発展してしまう。

「この“お家騒動”によって大塚家具は混乱する上に、業績はさらに低迷。久美子社長はあの手この手で経営再建をはかりましたが、100億円あった豊富なキャッシュを減らし続ける結果となりました」(同)

 昨年には、ついにメインバンクの三井住友銀行が、大塚家具と距離を置き始める。

「’18年8月に、売り上げの不振が深刻で、業績や財務の悪化で先行きに不透明感が高まった時に投資家に注意を促す『継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)』が決算短信に付いた。これを契機に銀行は一斉に融資などから手を引き始める。大塚家具は、資金調達のためスポンサー探しに奔走するハメになったのです」(金融アナリスト)

 大塚家具は貸会議室業の「TKP」に増資を依頼したが空振り。大塚家具がたどり着いたのは、中国資本の企業だった。

「中国のインターネット通販大手『アリババ』関連の家具販売『イージーホーム』が増資に名乗りを上げました。しかし、イージーホームの都合でそれも頓挫。その代わりにイージーホームとの仲立ちをしたEC事業を展開する『ハイラインズ』、米国系投資会社『イーストモア』が増資に応じ、最終的に76億円の資金調達をすることができました」(証券関係者)

 これに一安心した久美子社長は、中国に本格的に進出し、中国市場で100億を狙う意気込みを示す。ほかにもヤマダ電機との提携など、新機軸の経営再建案を続々と打ち出す。

 だが、現実はシビアだ。

「大塚家具の今年1〜6月までのEC事業の売上高は、1億7400万円。これを中国で数年後100倍にできるのかというと、かなり難しいと思いますよ」(経営コンサルタント)

 他にも大塚家具の経営再建案に難問が降りかかる。

「今年6月時点での預金残高は約31億円あったのが、’19年1月〜9月期決算では現金預金残高は約22億円しかありませんでした。つまり3カ月間に約9億円が減少したことになるのです。このままいけば2020年3月には現金は底をつく計算。それまでに大塚家具に新たな現金を調達できるウルトラC策が残っているのかが今後の最大の焦点です」(同)

 さらに、大塚家具の営業キャッシュフローが、9月期でマイナス29億1800万円。営業キャッシュフローが大幅なマイナス計上となり、経営の専門家からは「危険水域に達している」と指摘されている。

「営業キャッシュフローとは、商品の販売やサービスの提供など、会社が日々の営業活動から得たキャッシュ量を示します。つまり、その会社はいくらのキャッシュを1年間で生み出せるのか、その能力が明確に表れる数値であり、企業パワーを示す数値です」(同)

 これが高いと優良企業、逆にマイナス度が高い場合は要注意だ。

「営業キャッシュフローがマイナスといっても、利益が黒字なら問題ない。反対に純利益の赤字が続き、営業キャッシュフローがマイナスなら業績悪化の黄信号点滅です。大塚の場合は後者の例です」(同)

 市場はそうした大塚家具に、株価で反応する。久美子社長が就任時の’15年2月直後は2000円台を突破していた株価が、’19年11月19日には、161円の終値を示した。

 久美子社長の大逆転劇はあるのか。

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