2007年からチャンレンジすること、実に10戦目。前走・日経賞で念願の重賞タイトルをつかんだ。管理する松元茂調教師にとっては実に長い長い道のりだった。
「ようやくというか、やっとこさ。何とか重賞を勝ってくれた。うれしさはもちろんだけど、それ以上にホッとしたよ」。最低限の務めを終え、肩の荷がおりた指揮官は苦笑を交えながら振り返った。
その前走Vに大きく貢献したのはチークピーシーズ。以前はケイコでも物見をするなど散漫な気性がネックだったが、一定の視界をさえぎることで、集中力はグンとアップした。
「すごく行きっぷりが良くなった。今回もレースに向けて気持ちがかなり入っている。今ならもうレースで着用しなくても大丈夫なぐらい」
不安は解消した。あとはこの勢いで一昨年のリベンジへと向かう。07年の菊花賞(2着)で、アタマ差で惜敗したライバル・アサクサキングスへの雪辱だ。そのイメージはすでにトレーナーの中でできあがっている。
「道中は好位でレースを進めて、向正面から徐々に上がって4角先頭。そんな競馬ができればチャンスは十分にあると思う。何より一番、脂が乗っている時にGIに挑戦できるのがいいね」
己の力を信じ、横綱相撲で押し切ってみせる。今が旬のアルナスにとって、千載一遇のチャンスが訪れようとしている。
【最終追いVTR】坂路を800メートル52秒8→38秒7→13秒1で駆け上がった。サワノパンサー(3歳未勝利)を1馬身後方から追走し、ゴール前は目一杯に追われた。最後は力強い伸び脚で1馬身先着。これだけビッシリやれるのは状態がいい証拠だろう。