東京ヤクルトスワローズはFA補強に積極的ではなかった。しかし、成瀬善久(29=前千葉ロッテ)、大引啓次(30=前北海道日本ハム)と“投打の主力選手”の獲得に成功した。ドラフト1位左腕・竹下真吾(24=ヤマハ)も「知名度では有原、安楽に適わなかったが、間違いなく即戦力」と社会人野球の要人が太鼓判を押していた。メジャー通算281試合に登板したローガン・オンドルセク(30)もいる。この3年間、一軍マウンドから離れていた由規の復活も“確実視”されている。真中監督の先の前向きな発言は、チームが投打ともパワーアップした証とも言えるが、ネット裏から見る限りでは「全体的に調整が遅い」との印象を受けた。
まず、オンドルセクだが、「150キロを投げる」との触れ込みだったが、ブルペンでは30〜40球を投げる程度。球速も130キロ台しか出ていない。期待の竹下は左肘の張りで、無理をさせない方針となった。
そのせいか、復活を目指す由規の真っ直ぐが際立って見えた。
他投手が60%ほどの仕上がり具合だとしたら、由規は「明日、開幕でも」といった雰囲気だ。
今季のヤクルト打線は攻撃スタイルを変えてくるのではないだろうか。三木、福地の両走塁コーチが山田哲人、雄平、大引にアドバイスを送る場面が多い。フリー打撃の際、ベース後方にネットを立て、その後ろで打撃投手のモーションに合わせてスタートダッシュを切る練習は、どの球団でもやっている。だが、ヤクルトはここ数年、盗塁王争いに加わる選手が現れなかったせいか、エンドランなどの練習量も少なくなっていた。リーグトップの『チーム打率2割7分9厘』をバージョンアップさせるためもあるだろうが、今年は攻撃力が少し落ちると思われる。ミレッジが怪我で遅れており、バレンティンのチーム合流は「3月中旬」になるという。
前半戦は一発が期待できるバッターは畠山だけになるかもしれない。
成瀬の加入で、先発陣は小川泰弘、石川雅規の3本柱ができた。ここに由規が帰って来て、石山泰稚、杉浦稔大がローテーション枠を争い、交流戦の始まるころ、新人の竹下が一軍に合流する…。
ペナントレース序盤戦を勝率5割で乗り切れば、「一気に連勝街道」なんてことも起こりうるのではないだろうか。
新・正捕手候補の中村悠平がどこまでやれるか…。正直、守備練習を見ていると二番手以降の捕手が物足りない気もする。真中監督は中村が“お疲れモード”に入ったとき、田中雅彦、西田明央を使うのか、それとも、昨季二軍戦で50試合に出場した星野雄大を抜てきするのか、ちょっと迷うのではないだろうか。両外国人選手の出遅れ、二番手捕手など弱点はあるが、このチームはペナントレースの主役に躍り出る可能性も高い。