近年、『左投手不足』が課題とされてきたので、中畑監督はドラフト4位・福地元春を早い時期から実戦テストしてくるだろう。同2位の石田健大は左肩違和感のため、二軍スタート。福地を見た心証だが、スピードよりも重さを感じさせるボールを投げていた。社会人時代、走者のいない場面でもセットポジションで投げてきたが、面白いクセも見られた。
軸足となる『左足』を軽く曲げてから、右足を挙げる。彼なりの“投球リズム”だと思うが、クイックモーションのとき、その両足の動きは小さくしなければならないので、球速、球質が変わらないかが『合否ポイント』になりそうだ。
福地にやってもらわなければ、DeNAの左の救援は「岡島秀樹(前ソフトバンク)、林昌範のベテラン」をアテにしなければならない。ベテラン左腕・高橋尚成は先発で調整していた。ひょっとしたら、福地がキーマンになるのではないだろうか。
中畑監督のコメントで、気になる点が1つある。「1番・梶谷、4番・筒香」発言だ。この2人の成長が勝敗を左右するのは必至だが、2人とも外野手である。昨季同様、梶谷が右翼、筒香が左翼を守ると思われるが、残るセンターのレギュラーを成長著しい桑原将志、俊足の荒波翔、下園辰哉が争うことになり、一発のある多村仁志、松本啓二朗、若手の関根大気の使いどころも難しくなる。
キューバの至宝・グリエルの来日日程は未定(18日時点)。『一塁・ロペス(前巨人)、三塁・バルディリス』でスタートし、状況を見ながら、この3人の外国人選手を使い分けていくことになりそうだ。
興味深いのが、正遊撃手争い。昨季、DeNAはリーグワーストの116失策を記録したが、遊撃手の山崎憲晴(12個)、白崎浩之(11個)の2人がチームの1、2位という始末。ドラフト3位の倉本寿彦(24=日本新薬)が連日、バットでもアピールしている。フリー打撃で東野からバックスクリーン直撃弾を放ったのは既報通りだが、山崎、白崎も守備練習に相当な時間を割いていた。白崎は打力を買われて1位指名された選手だ(12年ドラフト)。倉本が長打力なら、白崎は広角に打ち分ける素質がある。白崎の打撃は「我慢して実経験を積んでいけば開花する」というのが、周囲の評価だ。中畑監督は白崎にもチャンスを与えたいと思っているはずだが、勝ちにこだわるのなら、打撃面でもアピールしている倉本を使ってくるだろう。
DeNAの開幕カードは原巨人。次カードはV候補の緒方広島。この6試合を勝ち越せば、波に乗れるはず。DeNAのキャンプは明るい。「今年こそ」という期待感を選手たちも持っているような印象を受けた。グリエルの来日が遅れても、序盤戦を乗り切れそうだ。