例年、秋華賞と府中牝馬Sの上位組が中心になるレース。だが、今年に限っていえば、そうなる可能性は決して高くない。
まず、秋華賞は全体的に有力馬が走らなさすぎた印象を受ける低調なレースだった。前日のデイリー杯2歳Sがレコード決着となったような超がつく高速馬場だっただけに、2000メートル1分58秒4の好時計もうのみにできない。今年の牝馬3冠ですべて別の馬が勝っている事実からも、世代のレベルそのものに疑問符が付く。
もう一方の府中牝馬Sはどうか。レース自体はハイレベルだったが、勝ち馬ブルーメンブラットが早々に回避を決定。最先着(2着)のカワカミプリンセスは1週前追いで引っ掛かってしまい、予定よりはるかに速い時計を出すボーンヘッド。誰の目から見ても「明らかなオーバーワーク」(某関係者)で、調整に狂いが生じたのは間違いない。
そこで、別路線組の出番だ。なかでも、勢い、デキの良さ、距離適性と三拍子そろったビエンナーレに激走ムードが充満している。
前走の札幌日経オープンでは牡馬を0秒4もちぎる豪快な逃げ切り勝ち。2着は先週のAR共和国杯を制したスクリーンヒーローで、レベルの裏付けは十分ある。しかも、上がり3Fでもスクリーンヒーローを0秒2上回っており、展開がハマっただけではないことは数字が示す通り。GI初挑戦とはいえ、ウオッカ、ダイワスカーレットが抜けた牝馬同士なら当然、互角に戦える。
スーパールーキー・三浦皇成が鞍上というのも心強い。今週は栗東に駆けつけ、調教に騎乗。「使うたびに力をつけているし、今までにないくらいの状態で臨めます。絶対にいい勝負ができると思うし、一発があるんじゃないかと期待しています」と確かな手応えを感じていた。先日の新人最多勝記録に続き、武豊騎手の持つ史上最年少GI勝ちの記録も塗り替える可能性も十分だ。