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私はこうしてお客様に落とされた 〜まどか・キャバ嬢(26歳)〜

 経営難でお店をたたむこともあれば、人間関係が嫌になってお店を辞めることもある。もちろん、この世界でもっと上を目指そうと思って前向きにお店を去ることだってあるしね。そうして、心機一転。女の子たちは新たな場所で頑張っていくんです。

 今回の私も、不景気の煽りを受けまくって、いつ閉めてもおかしくないような前のお店を去ってきた(急にお仕事が無くなることほど怖いものはないもんね…)。
 運良く、新しいお店がすぐに見つかったのは良かったけど…。やっぱり何年たっても“初めて”の場所というのは緊張する。

 恐る恐る、お店のドアを開き店内へと入ると、そこからは怒涛の自己紹介やお店のルール説明が待っていた。いろんな人たちに気を使いながら、これからこのお店でうまくやっていけるのかな? なんて考えてばかりいるもんだから、オープン前からドッと疲れが出てしまう。

 そこへ、突然、ボーイの男の子が私の名前を呼びにきた。指名が入りましたってね。

 「西川さん! 来てくれたんですか?」

 指示されたボックスに向かうと、店内をキョロキョロ見渡して落ち着きのない西川さんがソファーの端にちょこんと座っていた。

 「まどか、何か前の店よりも客層若くない? ここ?」
 「うん、私もそれ思ってた。女の子も女子高生ノリの子ばっかりだからどうしようかと(笑)」
 「だよね? まどかがいなかったら絶対入らないと思うもん、俺」
 「でも、西川さんが来てくれたから何だかホッとした〜。連絡くれれば良かったのに!」
 「初めての店でまどかが緊張してるかなと思ってあえて連絡しなかったんだよ。ドキドキしてる場で見慣れた顔を見つけると何だか安心しない?」
 「うん、安心した(笑)」

 連絡くれれば良かったのになんて言いながらも、本当はわかってたんだ。西川さんなら絶対に来てくれるって。私がひとりで不安なときは絶対に現れて安心させてくれる人だから。

取材・構成/LISA
アパレル企業での販売・営業、ホステス、パーティーレセプタントを経て、会話術のノウハウをいちから学ぶ。ファッションや恋愛心理に関する連載コラムをはじめ、エッセイや小説、メディア取材など幅広い分野で活動中。
http://ameblo.jp/lisa-ism9281/

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