昨年の阪神JFを制して、今季初戦となった先日のチューリップ賞も圧勝したブエナビスタ。すでに桜花賞は「この馬で決まり」という声が大勢を占めている。
また牡馬クラシック路線でも、きさらぎ賞を勝ったリーチザクラウンがおり、皐月賞の最有力候補でネオユニヴァース産駒のロジユニヴァースの背を追いかける一番手に位置している。
2年目の産駒からオークス馬シーザリオが出てブレークの兆しが出たものの、その後は他のサンデーサイレンス後継種牡馬に水をあけられていた。
しかし、今年になってようやく自身の現役時代に並ぶ、いや追い越していきそうな子どもたちに恵まれたようだ。
SS産駒特有の瞬発力とスピード。それだけではない。スペシャルウィークはたぐいまれな勝負根性と無尽蔵なスタミナも兼ね備えていた。
その長所をいかんなく発揮したのが1999年の阪神大賞典だ。この年の初戦となった前走のAJCCを快勝。前年のダービー馬として上々の滑り出しを見せたが、ここにはひとつ年上の強力ステイヤー・メジロブライトがいた。前年の天皇賞・春を勝っており、長丁場は絶対的な自信を持っていた。ここはファンの支持もブライトが1番人気、スペシャルは2番人気に甘んじていた。
前半1000メートル通過が63秒2と淡々としたペースをスペシャルは2、3番手で流れに乗った。それをマークする形でブライトが追走する。直線は2頭の激しい叩き合い。先に動いたスペシャルが3/4馬身ブライトを封じ込み、ステイヤーとして高い資質を示してみせた。ちなみに3着のスエヒロコマンダーは7馬身も引き離された。この2頭のポテンシャルがいかに高かったかの証左だろう。
3歳時は差し、追い込みにこだわり、ダービー以外は取りこぼしが目立ったが、ここで武豊騎手が取った戦法は先行策。鞍上の指示に従順な利口さを生かして、自在性という「幅」を見せた。これがこの年の大活躍につながっていく。