首を傾げざるを得ない失速だった。3番人気に支持された前走のヴィクトリアマイル。ベッラレイアは道中7番手、勝ったエイジアンウインズの直後という絶好位につけながら、直線はまったく反応しなかった。
もともと休み明けでも走る気性で、調教の動きも文句なし。それが3番人気という高評価につながったのだが、平田師はこう切り出した。
「確かにデキ自体は悪くなかったんだ。でも、前回は単なる休み明けではなく、秋華賞の後、筋肉痛になって休みが長引いたものだったから。こちらが思っていた以上にブランクの影響があったみたい」と振り返った。
その後はこのマーメイドSを目標にしっかり乗り込んできた。1週前追い切りは栗東坂路で800m53秒2、ラスト1Fは12秒5でまとめた。走りは時計以上の迫力。平田師は「終いは切れのあるいい動きだった。叩いた上積みはかなりのもの。今回は確実に良くなっている」とうなずいた。
まだGIレースは未勝利とはいえ、3歳時はオークス、秋華賞が2着。ウオッカ、ダイワスカーレットと並び牝馬最強世代の3強と称されたほどの実力馬だ。ここまで良くなって、GII・フローラS勝ちのある2000mなら楽勝条件がそろったともいえる。
しかし、平田師は「確かに牝馬限定のGIIIならと思う。これまでのメンバーを思うと随分楽になっているしね。だけど競馬は何が起きるか分からないし、油断はしていられない。気持ちを引き締めて何とかいい結果を出したい」と言った。
秋にもう一度、GIを目指すためにもつまずくことが許されない戦い。勝つまでは手綱を緩めるわけにはいかない。最強馬への道を走り続けるウオッカの背に少しでも近づくため、きっちり差し切る覚悟だ。