たかじんさんは「東京嫌い」としても知られる。これは新人の歌手時代に、東京のテレビ局やラジオ局の人間たちから冷たくされた思いがあるためとも言われる。人気番組であった『そこまで言って委員会』の東京での放送も、最後まで許可しなかったようだ。
そんなたかじんさんの死後、大物芸人たちが大阪回帰の動きを強めているのは象徴的だ。中でも、「ポストたかじん」のポジションを強く意識していると言われるのが東野幸治である。『お笑いワイドショー マルコポロリ!』(関西テレビ系)、『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送系)など、情報系番組のMCを多く務めている。社会派のネタをバラエティテイストで処理できるMCといったポジションは、まさにたかじさんが担ったものだ。
さらに、ナインティナインの岡村隆史も、『なるみ・岡村の過ぎるTV』(朝日放送系)、『おかべろ』(関西テレビ系)と2本の関西ローカルレギュラーを持っている。どちらもゆるいテイストの番組である。たかじんさんはテレビ好きでも知られ、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)を毎回録画し、番組へ出演したこともある。
極めつけは、ダウンタウンの松本人志であろう。関西拠点のたむらけんじらが出演する『松本家の休日』(朝日放送系)に加え、関西の名物番組と言える『探偵! ナイトスクープ』(同)の三代目局長に就任した。
もし、たかじんさんが生きていたとしたら、こうした大物芸人たちの関西回帰を歓迎したことだろう。さらに、場合によっては彼らとの共演する機会もあったかもしれない。改めて早すぎる死が悔やまれる。