1990〜1998年にヤクルトの監督を務め、この間にリーグ優勝を4回、日本一を3回果たすなどチームに黄金時代をもたらした野村氏。ヤクルト監督退任から20年以上が経った現在でもファンからの評価は高く、今年7月に行われた球団のOB戦で代打として登場した際にもひときわ大きな歓声が挙がっていた。
野村氏の監督就任と同じ1990年に、ドラフト2位でヤクルトに入団した当時25歳の古田氏。1年目から捕手として106試合に出場するなど野村氏に早くから期待をかけられていたが、その野村氏が選手に対し「俺はたくさんの人間を管理しているけど、大きく『無視』、『称賛』、『批判』の3つに分類している」と常々口にしていたことを述懐。
野村氏の言う3分類とは、「ちょっと下手だと思う選手は、奮起を促すために基本無視する」、「もう少しでレギュラーの選手は、称賛して実力を伸ばす」、「レギュラーとして試合に出ている選手は、さらに成長させるため徹底的に非難する」。選手のレベルに応じて「無視」、「称賛」、「非難」の3つを使い分けて指導していると公言していたことを明かした。
この指導法について古田氏は「『俺に文句言われている奴は、一応一流だと認めてる』って言うんですよ。(だから)僕なんか毎日文句言われても、『まあ、しゃあないか…』と(納得できていた)」と、文句を言われることの意味があらかじめ分かっていたことから指導を受け入れられていたとコメント。
また、古田氏と同じく同番組にVTR出演したヤクルトOB・真中満氏も「褒められているうちはまだまだ一人前の選手じゃない、非難されて初めて一人前の選手だとよく言われていた」と現役当時を振り返った。
一方、真中氏は「試合が始まると、選手が感じる生の情報が一番大事。その部分は尊重してくれていたので、『ランナーをここで進めろ』とか『1球目(を)打つな』とかそういう指示はなく、プレー自体は好きにやらせてもらっていた」と、野村氏は試合中にはあまり指示を出さず、選手たちに自ら考えプレーさせていたことも明かしていた。
今回の放送を受け、ネット上のプロ野球ファンからは「堂々と公言してるから選手も納得して指導を受け入れてたんだな」、「一般社会にも応用できそうな考え方だ」、「プロだから耐えられただけで、普通の人なら無視された時点で心折れそう」、「無視と非難はただのパワハラ、自分なら絶対にこんな指導されたくない」といった反応が多数寄せられていた。
文 / 柴田雅人