5月13日、ボートレース(競艇)団体への預託金や農業法人への農地購入代金などの名目で、金本氏から1億1680万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた無職・本多善光被告(45=埼玉県和光市)の公判が、さいたま地裁(西村真人裁判官)で開かれ、金本氏が証人として出廷した。
金本氏の証言によると、04年ごろから09年末までの間に、計60回以上、総額約8億円を本多被告の口座に振り込み、返金されたのはわずか約800万円にとどまると証言。多い月には3000万〜4000万円を本多被告の口座に振り込んだという。
本多被告と金本氏は広島時代に知人の紹介で知り合い、家族ぐるみの付き合いをしており、親友として、全面的に信用していたという。
多額のカネを振り込んだ理由について、金本氏は「こういうご時世で、いつ引退するかわからない。引退後に収入を得られて、魅力的だった」と説明。「清掃や警備、売店などの権利を任せると聞いていたので、プロ野球の後輩や、身内の就職先にもなると思った」と話した。
金本氏は裁判官に「できるだけ重い処罰を」と訴えたが、本多被告は「振り込みを受けたのは事実だが、だますつもりはなかった」と容疑を否認している。
被害を受けた04〜09年は金本氏にとって、まさに全盛期で、04〜06年の年俸は2億6000万円、07〜09年の年俸は5億5000万円だった。8億円の被害といっても、一般人の感覚とは大きな開きがある。
金本氏ほどの超大物なら、引退後、現役時代ほどの収入は期待できぬまでも、解説者、指導者して、それなりの高額所得が得られたはずだ。現役プロ野球選手が副業に手を出してはならないとはいわないが、当該詐欺事件は金本氏が欲をかいた結果ともいえる。公判で「バカだったなと思う」と話した金本氏だが、イメージダウンした印象はぬぐえず、指導者としての再就職にも影響を受けかねないだろう。
(蔵元英二)