「彼の部屋にあったら嫌なもので、よく世間の女性から挙げられるのが、アニメのフィギュアだったり、散らかったゴミなどですよね。でも私の場合、個人の趣味に口出しするつもりはありませんし、彼の部屋が汚かったら掃除してあげるので、特にマイナスには感じないです」
そんな麻衣子さんは、交際半年を過ぎた頃、彼から合鍵を渡され、部屋へ行き来する生活が始まった。その日も彼が仕事から帰ってくる前に部屋へ上がり、掃除をしながら待っていたという。
「彼の机まわりを掃除していた時のこと、偶然手が触れて、スタンバイ状態だったパソコンの電源が立ち上がったんです。すると画面には、あるフォルダが開いた状態のままになっており、女性の名前が書かれたいくつもの動画ファイルが、目に飛び込んできました。それで興味本位で開いてみると、女性とベッドで絡み合う濃厚なラブシーンが収められていて絶句。最初は市販のセクシー系ビデオかと思ったのですが、男の声がどう聞いても彼のものだったのです」
どうやら麻衣子さんの彼は、過去の恋人達との濃密な思い出を映像で残していたのだ。彼女にとって、その生々しい映像を目の当たりにしたショックは大きかった。
「例えば元カノの私物が置きっぱなしになっているなどの、ある程度のことは許容できる人間なのですが、その映像だけはさすがにドン引きしましたね。それからは、彼に抱かれる度にあの映像を思い出してしまい、“過去の女にしてきたことを私にもしているんだ”と考えてしまうようになりました。そのことはもちろん伝えていませんが、彼への気持ちは冷める一方です」
それが過去の映像とはいえ、気持ちの整理がつかないという麻衣子さん。彼女は近いうちに恋人との別れを考えていると最後に語った。
(取材/構成・篠田エレナ)