海外ニュースサイト『clickorlando』は、劣悪な環境下で子育てをしながら動物飼育をしていた大人3人が児童虐待と動物虐待の容疑で逮捕されたと10月21日に報じた。
同記事によると10月20日、米フロリダ州の警察が児童の生活環境を確認しようと民家を訪問。すると、57歳の夫と49歳の妻、8、9、10の子供3人、43歳の夫の恋人の合計6人が一つ屋根の下に暮らしていたという。また、犬4匹、猫2匹、ネズミ178匹、フクロモモンガ10匹、鳥14羽のほか、フトアゴヒゲトカ、ヒョウモントカゲモドキ、ハリネズミ、ヤモリ、カメ、ウサギなど全部で14種類、245匹の動物がいたという。
子供たちと動物にとってふさわしくない環境であることは一目瞭然で、強烈なアンモニア臭が立ち込める家の中は、腐敗した食べ物や動物の死骸、糞尿にまみれていたそうだ。足首の高さまでゴミで埋まった子供部屋にはマットレスのない二段ベッドが置かれていたという。
警察はこれまでに5回この家を訪問したことがあったが、家の中の確認はできなかったようだ。妻と恋人の両方と別れ、子供3人を連れて家を出る決心をした夫が、子供を連れていくことを妻に拒否されたため「この家が子供にとって健全な生活環境であるかチェックしてほしい」と警察に要請。これを受け、初めて警察が家の中に立ち入ったという。
警察によると子供たちは、適切に飼育できなくなるほど動物が増え、飼い主の生活が破綻する「多頭飼育崩壊」を起こした家で、劣悪な環境に耐えながら日常生活を送っていたそうだ。警察はその場で、夫と妻、恋人の3人を児童虐待と動物虐待の容疑で逮捕したという。
3人の子供たちは当局に保護され親族に引き渡された。また、動物は保護団体に引き取られたという。動物が保護された時、ケージ内には水や食べ物がなく、ノミが寄生し、毛が抜ける皮膚病にかかった動物もいたそうだ。
このニュースが世界に広がると、ネットでは「不衛生極まりないゴミ屋敷の中で生活していた子供がかわいそう。子供に健康被害がなかったのか心配」「多頭飼育崩壊の問題は深刻だ。動物愛護の観点からも3人の大人には厳しい罰を」「動物の数にも驚くが、両親と父親の恋人が同居しているような家庭環境が子供にとって良いはずがない」「子供がいる家で異常を感じたら警察が強制立ち入りできるようにすべき」「夫が警察を呼んだおかげで子供たちと動物が救出されて良かったが、夫は子供たちの生活環境について自分にも責任があると思わなかったのだろうか」といった声が寄せられた。
多頭飼育崩壊は日本でも起きている。
神戸市の市営住宅で猫53匹を放置していた40代の女性が強制退去処分を受けたと、『産経新聞WEST』がネット記事を2018年1月5日に掲載した。
同記事によると、女性が市営住宅で飼い始めた数匹の猫が、のちに大量繁殖。女性は飼育困難になり引っ越したが、毎日市営住宅に戻って猫の餌やりを続けていたという。
部屋の明け渡しを求めて提訴した市は悪臭による迷惑行為を主張。神戸地裁がこれを認める判決を下し、市が強制退去に踏み切ったという。部屋には猫の糞尿が堆積し、猫の死骸からは大量のハエやウジ虫がわくなど「地獄絵図」そのものだったそうだ。
このように、飼っている動物が世話できないほどに増え、悪臭や騒音で近隣とトラブルになる例は各地で相次いでいるという。2019年3月16日に『朝日新聞』が報じたところによると、環境省はこうした事態を未然に防ぐための自治体向けのガイドラインを作成するため、近く専門家による検討会を立ち上げるそうだ。
動物を飼う人は子育てと同様に、動物が健康で快適に暮らせる環境を整える重大な責任を負っている。
記事内の引用について
3 children, 245 animals removed from 'deplorable' Florida home
https://www.clickorlando.com/news/3-children-245-animals-removed-from-deplorable-florida-home
「膝までの汚物に大量のハエ」猫50匹放置で“野壺”と化した人気市営住宅「多頭飼育崩壊」の悲劇
https://www.sankei.com/west/news/180105/wst1801050003-n1.html
ペット増えすぎ、環境省が対策指針 飼い主社会的孤立も
https://www.asahi.com/articles/ASM386CQTM38UBQU017.html