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綱獲り場所の稀勢の里 一転、大関陥落危機のトホホ

 大相撲初場所(1月12日〜26日=両国国技館)は千秋楽で、1敗の大関・鶴竜(28=井筒)が本割で、全勝の横綱・白鵬(28=宮城野)を寄り倒しで破って、14勝1敗の同点に持ち込んだ。優勝決定戦の末、白鵬が鶴竜を寄り切りで下して、2場所ぶり28度目の優勝を飾った。

 先場所優勝の横綱・日馬富士(29=伊勢ケ浜)が、左足関節じん帯損傷のため休場するドッチラケの場所となったが、最大の注目は大関・稀勢の里(27=田子ノ浦)の2度目の綱獲りだった。

 北の湖理事長(元横綱)、横綱審議委員会から示された昇進条件は「13勝以上の優勝」であったが、稀勢の里はプレッシャーのあまりか、初日から、いきなり平幕・豊ノ島に敗れ、不安なスタートを切った。

 さらに、5日目にも平幕・碧山に、8日目に小結・栃煌山に敗退し、3敗目を喫して、早くも綱獲りは消滅。持ち前の「ここ一番の勝負弱さ」を発揮してしまった。

 そして、12日目の琴欧洲戦で右足親指を痛め、14日目の鶴竜戦で悪化。この時点で、星は7勝7敗。千秋楽に勝ち越しが懸かることとなったが、「右母趾(ぼし)MP関節じん帯損傷で約3週間の安静加療」との診断で休場。琴奨菊戦は不戦敗となり、負け越しが決まった。

 本人は強行出場を希望したが、師匠の田子ノ浦親方(元前頭・隆の鶴)が「無理をすれば(治るのに)長くかかる」として、止めた。

 頑丈な稀勢の里は初土俵以来、1度も休場がなく、現役2位の通算連続出場を続けていたが、それも953回で途切れてしまった上、小結時代の10年秋場所(9月=両国)以来、3年4カ月ぶりの屈辱の負け越しとなった。

 来たる春場所(3月9日初日=大阪)では、初のカド番となる稀勢の里。故障は3週間で癒えても、来場所は稽古不足で臨むことが濃厚。そうなると、2場所連続負け越しの可能性も現実味を帯びてくる。稀勢の里は綱獲りから一転、大関陥落の大ピンチを迎えるハメになってしまった。
(落合一郎)

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