AKB48などをプロデュースする秋元康氏とよしもとの本格初タッグ、それが吉本坂46。アイドル、芸人、落語家、文化人、俳優、吉本新喜劇の座員ほか、およそ6000人が在籍するよしもとタレントから、難関をくぐりぬけた者がグループ活動していく。合格者は本業とは別にアイドルの顔も持ち、ソニー・ミュージックエンタテインメントからメジャーデビューする。
奮闘ドキュメントバラエティーのMCは東野幸治、乃木坂46・松村沙友理、クイズ作家・古川洋平。スタジオは、よしもと本社ビルの巨大な会議スペースの一角だ。MC3人の背後では、社員と思しき面々が普通に仕事をしている。そこには、テレビカメラが回っている緊張感も、番組が収録されている心構えも皆無だ。
乃木坂でも人気があり関西人である松村は、いいスパイスとなっている。キュートな笑顔ながらも、時おり意見をズバリと言う。さすがは関西人と思わせるバラエティ能力は、回を重ねるごとに上がっている。結果、「小さいときから『かわいい』しか言われてこなかったから……。調子のっちゃって!」と、実話にゆりやんレトリィバァの名フレーズをかぶせる合わせ技までできるようになった。ちなみに、MCの立ち位置ならぬ座りは、センターポジションだ。
東野がいるという安心感が大きい。東野といえば、東名阪で司会を務めるレギュラー番組を抱える超売れっ子。『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)ではMCとひな壇の両方を完ぺきにやってこなし、『ワイドナショー』(フジテレビ系)ではダウンタウン・松本人志の良き右腕。
そんな東野がこの吉本坂番組で見せるのは、かつて深夜バラエティ界を席巻した『あらびき団』(TBS系)の司会時の顔だ。重箱の隅をつつくようなツッコミ、地下芸人を小バカにしながらも、イジりと笑いで浮上の目を与えてあげようとする優しさ。とはいえ、根底に流れているのは冷徹さ。番組内ではその素顔も垣間見られ、受験者の密着VTRでは鋭い刃を向ける。
結果、ミラクルが生まれることがある。7月4日のオンエア回では、追っかけていた1人の「鬼梨おに」が、173名のうち173位というまさかの最下位。ある意味、トップと同じほど価値がある最下位の密着。この奇跡こそ、台本にない笑いを生むテレ東の強運といえる。
現在、第五次オーディションを開催中。80名まで絞られる予定だ。男女混合、年齢不問。こうなれば、東野の真骨頂。“あらびき”な吉本坂46に、東野のツッコミの腕が鳴りそうだ。