送検容疑は12年5月に東京都品川区内の女性宅で、現金数百万円が盗まれた事件を担当した際、同年8月に女性から証拠品として預かった現金50万円を、自分の机の引き出しに保管した疑い。そのうち、4万円を使ってワイシャツや靴などを購入し、残りは自宅に持ち帰った。本来なら、現金は署の会計係に預けなければならない規則になっている。
女性の親族が、同年9月に別の警察署に相談して発覚。当初、警部補は「預かっていない」と否認していたが、今月になって容疑を認めた。
同課によると、警部補は「手元にあれば、手持ちのカネが少なくなったときに使える。後で穴埋めしておけばいいと思った」などと話しており、すでに全額を弁済した。警部補には数百万円の借金があったという。
警部補は12年3月に定年退職後、同年4月に再任用された。約30年間、盗犯捜査を担当していたベテラン刑事だった。
警視庁の池田克史・警務部参事官は「警察職員としてあるまじき行為で厳正に処分した」と話している。
盗犯を担当していた警察官が、事件被害者から預かった現金を着服するなど言語道断の行為。どうやら、警視庁はこの警部補を再任すべきではなかったようだ。
(蔵元英二)