「剛さん(兄)と礼二さんのお父さんの弟さん、つまり叔父さんの“タカシさん”が、おかまなんです。昼間は、タクシードライバー。でも、夜になるとオネエという本来の顔を出して、ゲイバーを経営していたそう。店名は、『木』を4つ書いて『ジャングル』(笑)」
家に招かれた礼二は、当時67歳だった叔父に年上の彼氏がいることを知った。寝室をのぞくと、「YES・NO枕」が置かれていた。これは、片面に「YES」、裏面に「NO」と書かれた枕で、テレビ番組の『新婚さんいらっしゃい!』(朝日放送)で新婚の出演者に渡されて有名になった。夫婦の営みの返事をYES・NOで示し、パートナーに見せるものだ。礼二が訪れた日は、「NO」の面だった。
ちなみに現在、叔父の伴侶は他界。70歳を過ぎて、寂しい老後を送っている。
西が中川家なら、東は浅草キッド・玉袋筋太郎だ。ビートたけしの熱狂的なファンでたけし軍団入りを認められ、今春、たけしが自ら創設したオフィス北野を退社・独立するまで、殿に仕えたひとりである。出自は東京都新宿区西新宿である。
父・正行さん(故人)は麻雀店を経営していたが、ゲイバーに移り変わったことを知ったのは、玉袋少年が中学2年生のとき。店をのぞくと、セーラー服に身を包んだ父がおり、「男の職場に子どもが来るんじゃない」と一喝された。ちなみに、真性ゲイではなく、営業ゲイ。……のはずだが、両親がキッドのライブを観に来たとき、父が一緒に来たすし屋の大将と手をつないでいたという。
中川家も玉袋も、実体験を活動の糧にしているのは、さすが芸人だ。
(伊藤雅奈子)