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「渋井哲也の気ままに朝帰り」 東京への憧れはない地方のキャバ嬢たち

 地方に行くと、キャバクラであれセクシーキャバクラであれ、安い料金で飲むことができます。東京での料金を知っていると、激安だと思えるほどです。

 「こんな安いの? 東京の半額じゃん!」

 客の立場から考えるとお得感があるものです。しかし、同じような仕事なのに差があるなんて、働いている嬢たちはそれなりに時給も安いことでしょう。いったい嬢たちはどう思っているのでしょか?

 富山市のキャバクラは、富山駅から富山県庁を超えたあたりに集中しています。このあたりのキャバクラに行ったときに、「同じような仕事をしていて、なぜ東京や名古屋、大阪という大都市圏で働かないのか?」と聞いてみたことがあります。

 ある嬢(20代前半)はこう話しました。

 「考えてもみなかったですね。高校を卒業して、ずっと富山で過ごしてきたので。ただ、友達の話とか聞くと、大都市もいいなって思います。でも、私はなぜか地元に残ってしまいますね」

 この嬢は大都市圏の方が時給がよいという情報は持っているが、地元が好きなためか、なぜか地元から離れようとしない。他の嬢(20代中盤)にも聞いてみました。

 「実は、つい最近まで名古屋でも夜の店で働いていたんです。でも、疲れちゃって地元に帰ってきました。もちろん、名古屋の方が時給がよかったですが、営業の大変でしたから」

 この嬢は、大都市圏での働き方に疲れてしまったようだ。もちろん、その人にとって働きやすいペースなどもあるのでしょう。営業が厳しくなっているという背景もあってか、「都会に疲れた女」になってしまったのようです。

 北海道に行った時も聞いてみたことがあります。

 「友達は歌舞伎町で働いています。その話を聞くと、時給が高くていいなって思います。遊ぶ場所もあって楽しそうです。それはわかっているのですが、私はそこまでできる自信がないんです」(19歳)

 「以前は旭川で夜の店で働いていたんです。この店には、苫小牧から来た子もいたりします。北海道の中でもさらに地方のところから来た人たちばかりなので、居心地がいいですよ。東京は何度か行ったことがありますが、なんか忙しそうですよね」(20代前半)

 もちろん、北海道出身のキャバクラ嬢は歌舞伎町にもたくさんいます。しかし一方で、北海道に残る子もたくさんいます。その差は何かを考えたとき、その嬢にとって「東京は外国」と思っているかどうかではないでしょうか。そうした嬢たちは、東京は、一生に何度か遊びにいければよい場所と考えたりしているのです。

 そういえば、何年か前に京都のキャバクラ嬢(当時20歳)が東京に遊びにきた時に、

 「東京は楽しいなあ。刺激があるし、住んでいたらいいんだろうなって思う。でも、私はのんびりしている京都が好き。こうしてたまに遊びにくることができれば、それでいいかも」

 と話していたことを思い出します。

 こうしたキャバ嬢たちが地方のお店を支えているのです。ある意味、東京には住みたくない、あるいは遊ぶ場所であり、住む場所はやはり地元として考えているからこそ、地方のキャバクラの雰囲気が出てくるんだろうと思えるのです。

 大都市圏の華やかさを象徴の一つとして取り上げられやすいキャバクラ。しかし、同じ業種でも、地方のキャバクラはひと味違った嬢たちがいるのです。

<プロフィール>
渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。

【記事提供】キャフー http://www.kyahoo.jp/

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