昨季のセ59勝、パ81勝(1分け)の内訳を指して、こんな分析もされている。
「昨年は横浜(セ)が危機的状況にありました。巨人の勝率5割がセの最高順位なのは考えものですが」(在京セ・リーグ球団職員)
横浜が昨季のように一方的負け方をしなければ、状況はたしかに違ってくる。昨季は6勝18敗(12位)、関係者には失礼かもしれないが、過去6年の交流戦で3度も最下位(12位)に沈んだのは横浜ベイスターズだけだ。横浜が一方的に負け越すようなことがなくなれば、事態は好転するというのだ。
「昨年の今頃、ヤクルトも壊滅的な状況にありました。快進撃が始まる前のことですから、セには『安全パイ』と目された球団が2つもあったわけです」(前出・同)
横浜は苦戦が続いているが、今季は先制点を奪われても「下」を向かなくなった。また、昨季の横浜、ヤクルトのような危機的状況にあるのは、パ・リーグのオリックスだ。そう考えれば、「今季は肉薄できる。勝ち越しも…」という考えも間違いではないようだ。
プロ野球解説者の1人はこう予測する。
「日本ハムの斎藤佑樹、埼玉西武の大石達也がいない分、今季のパ・リーグで新しい戦力(投手)はオリックスの西(勇輝)くらい。岩隈も右肩に違和感を訴えていますし、パ・リーグが圧倒的有利とは言いきれません」
それに対し、在京球団スコアラーはこう反論する。
「パ・リーグをキリキリ舞いさせた広島・前田健太に昨季ほどの勢いが感じられません。ソフトバンク、日本ハムの好調打線を抑えるのはひと苦労です。中日も精彩を欠いている」
故障者続出の原巨人も厳しい展開が続いている。横浜、ヤクルトが上向きでも、広島・前田が不振で、中日、巨人が戦力ダウン。「セ・リーグが有利」とは言い切れないのではないだろうか。
「セ・リーグには『交流戦を勝率5割くらいで乗り切って』と、後退的な発想をするチームも少なくありません。パ・リーグ球団は札幌−福岡間を移動するのに対し、セ・リーグ関東球団は同じ宿舎ホテルから移動できる距離にあります。一時期、パ・リーグは土・日曜日にデーゲームをやって、その足で長距離移動していました。パ・リーグの方が体力面では『上』です」(前出・在京球団スコアラー)
交流戦もマンネリの風が吹き始めた。通常シーズンで指名打者を使わないセ・リーグが打線爆発し、投手が打席に立たないパ・リーグがトリッキーな作戦を見せる…。そういう醍醐味がなければ、交流戦も“消化試合”と化すのは時間の問題だ。テレビ中継数(地上波放送)を復活させるためにも、まずはセ・リーグが高い勝率を残すべきだろう。