土俵上で両手をあげてのガッツポーズ。優勝後のインタビューでは観客からの「モンゴルに帰るな」という声に「日本が大好き」と答えながら、その2日後にはそそくさとモンゴルに帰国するなど、やりたい放題の朝青龍。そんなワンパク横綱の動向に初場所後も注目が集まった。
再来日後はガッツポーズについて横綱審議委員会で品格を問う声があがったことについて「知らない」とふてぶてしさ全開で回答。
そればかりか「理事長に会いに国技館に行くんですか?」という問いに「オマエが行けよ」と吐き捨てて悪態をついた。
ガッツポーズ問題は、ほぼ同時期に若麒麟が大麻所持で逮捕されたことにより、うやむやとなった。悪運に恵まれた朝青龍は後日、「場所前は優勝とか考えていなかったので、ガッツポーズをしてしまうぐらい、うれしかった。気持ちが抑えられなかったのは反省している」と殊勝な言葉で幕引き。若麒麟の大麻騒動で、朝青龍の一連の品格問題を一気に吹き飛ばされた形である。
それでもモンゴルに凱旋帰国したことはいただけない。優勝後は母国モンゴルに帰らないことを公言し、一夜明け会見でも「(今後は)若いのを連れて(日本国内の)温泉にでも行きたい」と語っていたからだ。これでは嘘つきのレッテルがはられ、悪評がついて回るのも当然といえる。
だが今回のモンゴル帰国には事情があったようなのだ。朝青龍に近い関係者が言う。
「今回のモンゴル帰国にははじめから目的があった。滞在もわずか40時間弱でした。そんな弾丸ツアーでも横綱は優勝賞金を持って、あることがしたかったんです」
いったい何をしたというのか。
「横綱は飛行場に着くや、休む間もなくウランバートル市役所に直行したんです。そこでムンフバヤル市長と会い、優勝賞金で自分が生まれたウランバートル市内の第2産院という病院に救急車を寄贈することを発表したんですよ。今、ウランバートルは人口増加に加えてベビーブームらしい。だから朝青龍が贈った日産の救急車は相当ありがたがられたようだ」(前出関係者)
日本ではモンゴル帰国で「嘘つき横綱」と報じられていたヒール横綱だが、モンゴルではベビーフェースとして大変な社会貢献していた。角界のトップヒールとして名高い朝青龍だけに、柄にもない美談は日本であまり報じられないようだ。