事案が発生したのは、20日午後7時頃。JR青森駅前のバス停で、男性運転手がバスに乗った車椅子の女性に対し、乗車拒否とも取れる発言をした。その後、市に「対応が不適切」との指摘が入り、調査を開始。その結果、不適切対応が事実だったとして、女性に謝罪するとともに、運転手を指導したという。運転手は「誤解を与えるような言い方をしてしまい、反省している」と反省の弁を述べているとのことだ。
今回のような車椅子の利用者を、路線バスの運転手が乗車拒否し、謝罪する事案は度々発生している。今月は、滋賀県大津市の帝産湖南交通の運転手が、バスに乗り込もうとした車椅子の男性に対し、「スロープの出し方がわからない」と告げ、乗車を断った事案が発生している。
後の聞き取り調査で、運転手は「スロープの出し方がわからない」という主張は嘘と告白。その上で、「30人〜40人がすでに乗車し座れない乗客がいる中で、頭が真っ白になった」と話し、事実上の乗車拒否であることを認めた。
2016年に障害者差別解消法が施行され、障害を理由にした乗車拒否は「不当な差別」となる。従って、バスの運転手は正当な理由なく障害者を乗車拒否してはならない。どのような理由があってもNGである。
しかし、実際、路線バスの現場からは、「車椅子の乗車を乗せるための作業はかなりの重労働」「用意をする行為に手間取り時間がかかってしまい、定時運行ができずに文句を言われた」「ワンマンの運転手がやる作業とは思えない」との声も聞こえてくる。
今回の事案についても、男性運転手の言動は不適切としながらも、「車椅子の乗客側にも配慮が必要なのではないか」「1人の車椅子の乗客よりも、多くの健常者を時間通りに進める方を優先するのは当然なのではないか」という意見も出て来ているのが現状だ。
もちろん、正当な理由なく車椅子の乗客を拒否することはあってはならない。人間であれば、運転手で積載作業が不得手な人物もいるのは当然である上、混雑時などでは、スペースを確保できないなどの理由で断らざるを得ない場面もあるはず。
健常者が障害者のバス乗客に配慮することは当然だが、車椅子ユーザーも、バスの混雑状況を確認し、場合によっては次のバスを待つような、余裕と配慮心を持つことが必要なのではないだろうか。