海外ニュースサイト『Dailymail』は5月21日、カナダに住む女性、ハイジ・プランピングさん(42)が、飼い猫に引っかかれた後、感染症に罹患。目が変色し、顔が腫れ上がる非常に重い症状に悩まされたと報じた。
同記事によると、ハイジさんは、友人の飼い犬である大型犬に動揺した愛猫を落ち着かせようと抱き抱えたところ、興奮していた愛猫に顔や腕や手を引っかかれてしまったそうだ。その次の日には、緑色だったハイジさんの目は黒く変色していたが、さほど気にかけていなかった。引っかかれた3日後には手と目が腫れ始めたが、ハイジさんは自身の敏感肌によるものだろうと考え、病院には行かなかったという。しかし、4日後にはさらに手と目の腫れがひどくなり、病院に行って薬を処方してもらったが薬は効かず、その後、顔の腫れはひどくなる一方。ついに発疹まで出てきてしまう事態になった。
ハイジさんは再度同じ病院を受診したところ、猫に引っかかれたことが原因で「ネコひっかき病」と呼ばれるバルトネラ菌に感染したことが判明。猫ひっかき病とは、猫に噛まれたり、引っかかれたりした後に発症し、数日後にリンパ節の腫脹が見られる病気。まれに脳炎を併発することもあるという。ハイジさんは4日間、病院に通って抗生剤の点滴を受けることになった。現在症状は収まり、今まで通りの生活を送っているという。
猫を飼ったことがある人ならは、ハイジさんのように猫に引っかかれたり、噛まれたりした経験が少なからずあるだろう。怪我を自分で判断するとハイジさんのように重篤な症状につながることもある。怪我をした際は、適切な処置を施せば感染症にかかる可能性が低くなるようだ。
同記事によると、万が一猫に引っかかれたり、噛まれてしまった場合、まずは急いで傷口を洗い流すことが重要だという。蛇口の水を出しっぱなしにして2分ほど洗い流し、傷口に付いた菌を流す。その後、血が流れ出ている場合を除けば、優しく皮膚をつまんで血を流すといい。出血がひどい場合には、清潔な布などで傷口を圧迫する。傷口が乾いたら絆創膏を貼り、外科で医師の診断を受けるべきとのことだ。
注意すべき感染症は他にもある。厚労省によると、「ネコひっかき病」の他に「トキソプラズマ症」「回虫症」「パスツレラ症」「皮膚糸状菌症」「狂犬病」(病原体はいまだに、もしくは長期間発見されていない)などがあるという。また、先述の『Dailymail』の記事によると、アメリカでは毎年約1万2000人がハイジさんと同じ「ネコひっかき病」に感染しているという。日本では感染者数に関する統計はまだないが、感染者は確認されているという。
さらに、猫などから感染する「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」にかかった福岡県の60代の女性が2016年に亡くなっていたことが、2018年に厚労省の発表によって分かったと2018年1月15日、『日本経済新聞』が報じている。
飼い猫も興奮させると本気で噛んだり、引っかいたりすることがある。興奮させないことが大事だが、万が一傷を負ったときのために、正しい対処法についても覚えておきたい。
記事内の引用について
Woman, 42, wakes up with a BLACK EYE and swollen face after being scratched by her cat that left her on an IV drip for four days『Dailymail』より
https://www.dailymail.co.uk/health/article-7053027/Woman-42-wakes-BLACK-EYE-swollen-face-scratched-cat.html
猫感染症研究会より
https://jabfid.jp/disease/Pages/cat_scratch
日本経済新聞ウェブサイトより「猫から感染症、福岡の女性が死亡」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25677710V10C18A1CR0000/
厚生労働省「動物由来感染症」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou18/index.html